「BBクリームは当たり前」脱毛や歯のホワイトニングも
実際、首都圏の中学に通うわが子や友達をみても、スキンケアに時間をかけるのはごく自然なこととなっています。高校生の先輩たちの話ではBBクリームも日常的に使用しているとのことです。ひと昔前なら「思春期特有」と受け入れていた、髭やすね毛、ニキビや脇の臭いなどの変化に敏感に反応するのが今の10代なのです。まさに「あたりまえ」を見直す世代といえるでしょう。
決して息子や周りが特別なわけでなく、前出のアットコスメの15歳から59歳の男性を対象にした調査でも、「普段使っているベースメイク・メイクアップ化粧品」の項目では、BBクリームや色付きリップクリームを使っているのは、15~29歳の層が最も高くなっています。実際に息子の先輩の大学生には脱毛や歯のホワイトニングにサロンに通う男子もいるそうです。
これは若者に人気のBTSなど、K-POPアーティストの影響も大きいでしょう。韓国では医療用だったBBクリームを美容用に商品開発し、いち早くメンズブランドが立ち上がりました。
また、デジタルネイティブ世代でもある彼らにとって、ジェンダーレスタレントは子どもの頃から身近な存在であり、例えばタレントのMattが美容について紹介するユーチューブなどにも違和感がありません。このように、若い世代は柔軟に多様性を受け入れていることが大きいと感じます。
40代以上でも、一流ほどメイクは当然視されている
それでも、40代以上の男性にとってはBBクリームであっても抵抗感が大きいようです。
実際、男性向け雑誌やWEB媒体で美容を担当する編集者に話を聞いたところ、20~30代はメイクにも抵抗がない一方で、40、50代のリーダー層になるとメイクよりもスキンケア派が多いといいます。「そのため、どうしてもスキンケアネタを提供することが多いのが現状です」(美容に特化したPR会社・DSプロモーション代表松下令子氏)。
しかし、この状況は今後、変わっていくと考えています。私は経営者や政治家の印象戦略を手がけていますが、特に企業のトップや営業職など人前に出る機会が多い職業の方は、40代以上でもBBクリームをはじめ、目元のシミや毛穴などを部分的にカバーするコンシーラーなどのメイク用品を使用するのが3年ぐらい前から当たり前になっているからです。
特に2020年以降、原宿の化粧品店「@cosme TOKYO」に男性コスメのコーナーができ、伊勢丹新宿店メンズ館にも男性メイクコーナーが充実するようになりました。パッケージも男性好みのモノトーン調のものが増え、店頭で手にとって購入するハードルが低くなったことも大きいでしょう。