化粧をする男性がじわりと増えている。印象戦略コンサルタントの乳原佳代さんは「男子高校生にはスキンケアやBBクリームは当たり前になっている。BTSなどのK-POPアーティストの影響だろう」という――。
美容院で眉毛を整えてもらっているアジア人男性
写真=iStock.com/Marcus Chung
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コロナ禍でも好調な男性化粧品

コロナ禍で外出の機会が減ったことやマスク着用による影響で、女性向け化粧品(メイクアップ)の売り上げが減少している中、メンズコスメとよばれる男性向け化粧品は盛り上がりを見せています。

調査会社インテージの調査によると、2020年の国内市場は9315億円。19年より11%減少しました。コロナ禍で出社をはじめとする外出機会が減り、美容への意識が低下したと考えられます。しかし、男性の化粧品市場を見ると、4%増の373億円となっており、特に化粧水や乳液などの基礎化粧品が好調でした。

化粧品情報専門サイトのアットコスメの調査でも、男性化粧への関心の高まりが示されています。メンバーを対象にした、コロナウイルス感染拡大前との意識を比較した2021年1月の調査で「メイクアップへの関心が増えた」という回答は19.2%、スキンケアとなると44.2%となっています。

これまではスキンケアが中心だった男性化粧品ですが、コロナ禍に入りメイクアップへの需要が拡大しています。男性向け化粧品の中でも売り上げが伸びているのがBBクリームです。男性用BBクリーム市場で初めてTVCMを放映した資生堂によると、2019年3月の発売以来、2021年2月までの累計出荷個数は100万個を突破。背景にコロナ禍における“リモート映え”需要があると分析しています。

(左)メンズブランド「ウーノ(uno)」の男性用BBクリーム、「フェイスカラークリエイター」シリーズ(画像=ニュースリリース・資生堂グループ企業情報サイトより)、(右)ギャツビー EXオールインワンカラーリップ
(左)メンズブランド「ウーノ(uno)」の男性用BBクリーム、「フェイスカラークリエイター」シリーズ(画像=ニュースリリース・資生堂グループ企業情報サイトより)、(右)ギャツビー EXオールインワンカラーリップ

そもそもBBクリームという名前は、Blemish(傷)、Balm(軟膏)、Base(下地)などから来ていて、1960年代にドイツの皮膚科医がピーリングや手術後の皮膚を保護するために処方した、肌を保護・修復して赤みなどをカバーするための色付きの医療用軟膏が起源だといわれています。

アイメイクやリップのように顔にプラスするものではなく、肌のトラブルをカバーするタイプのものであることも、男性にとってハードルが低かった理由だと考えられます。