今春、ファミリーマートが「はだいろ」の女性用下着を自主回収した。ネットでは評価する声の一方、「肌色に差別の意図はない」という否定的意見も根強くあった。ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンさんは「黒人差別だけでなく世界ではアジア人差別も根強い。日本人は差別されることにもっと敏感になったほうが良い」という――。
根強い「肌色の何が悪いの?」という反論
昨年、アメリカの医薬品大手「ジョンソン・エンド・ジョンソン」(J&J)がBLM運動(Black Lives Matter「黒人の命は大事だ!」)の影響を受け、アジアや中東で売られていた「肌を白くするためのクリーム」の販売を中止しました。
今春には日本の花王も「肌の色の多様性」に配慮するために「美白という表現を取りやめる」ことを発表。ファミリーマートが「はだいろ」と表記されたプライベートブランドの肌着22万5000枚を自主回収したことも記憶に新しいです。
今回は日本と海外を比べながら「肌の色と多様性にまつわること」について考えます。
肌色や美白化粧品の扱いについて、日本では疑問の声も聞かれます。「言葉狩り」という反論や、「美はあくまでも美」として社会問題と切り離して考えるべきという意見も少なくありません。
日本に限らず、ヨーロッパでも「黒人の肌の色がメディアなどでどのように扱われるか」という点で、「黒人の当事者」と「その国のマジョリティー」の間には依然として大きな隔たりが見受けられます。