美容に無関心だった40代の男性経営者の変化

「男が化粧⁉」と驚かれるビジネスマンの方が少なくないと思います。経営者や政治家の印象戦略をお手伝いしている私の実感です。しかし、私のクライアントにはメンズコスメを取り入れたことで、ビジネスでいい結果につながったという事例がいくつも存在します。美容に無関心だった40代の男性経営者の事例を、ここで紹介したいと思います。

A氏は高校生の頃からコンピュータマニアで、コンピュータ関連企業に就職。当時からいわゆるオタク的な風貌だったそうです。そんな彼の才能が注目され、アメリカに渡り、シリコンバレーで投資を得てITの分野で起業した経営者です。彼は髪型にもファッションにも無頓着。理髪店にすら行かないため、奥様が髪の毛を切っていたほど美容に無関心な方でした。

A氏にはまず日本での事業を展開するタイミングで宣材用の写真撮影を勧め、撮影の際はヘアメイクを入れることを提案。意外にも快く受け入れてくれました。後で聞くと撮影のためのヘアメイクには抵抗がなかったとのことです。

撮影当日、朝起きてすぐに駆けつけたかのような髪が整えられただけでなく、目元のクマや肌荒れも隠れ、均一に整えられた肌の美しさに、彼はとても満足な様子でした。いざ撮影になると、メイク前の控えめな印象から一転。始終、晴れ晴れとした表情で、ポージングも堂々としていました。

この日を境に、彼は会見や撮影にヘアメイクを伴うのはもちろん、普段もBBクリームを使用するようになりました。彼のビジュアルは奥様や身近なスタッフにはもちろん、その後、取材などで関わったメディアの担当者からも「かっこいい」「イケメン」などという声が聞かれました。

洗面所で鏡を見ながらケアをする男性
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

見た目の自信が、仕事のパフォーマンス向上につながる

メンズコスメの影響は、一目瞭然でした。その後、アメリカの経済誌で日本を代表するスタートアップ企業の社長として紹介されただけでなく、日本の大手企業の資本が入り、運輸会社、製造業など大手企業と業務提携しました。

何よりも彼自身の内面の変化は非常に大きかったと言えます。

ニューヨークのファッション、ビューティー、ウェルネス分野のクリエイティブエージェンシーDecode Creative Inc.代表で、クリエイティブディレクターのカツア・ワタナベ氏によると、アメリカでは意識の高い人はBBや肌の色味をコントロールするCCクリームが出た頃から使っているそうです。

そして、高学歴、高収入の人ほど美意識が高く、セルフケア、セルフブランディングをしっかり行っており、そのような人たちほど社会的に成功している傾向が強いことから、日本のビジネスマンが見た目のケアをしていない場合、海外では当然ビジネスで不利になると警告しています。