ゴールドウイン【ザ・ノース・フェイス マタニティウェア】の場合
みんながほしいマタニティウエアがないのでは?
男性向けアウトドアウエアのイメージが強いザ・ノース・フェイスが、マタニティウエアを発売したのは2019年のこと。発売以来、売り上げを伸ばし続け、この秋冬の販売金額は、なんと前年比約300%! 商品開発のリーダーに抜てきされた矢野真知子さんは、当時、事業部企画メンバーの中で唯一の出産経験者。矢野さんは、まず徹底的にデータにあたり、周りのママたちの声を拾った。
「データを調べると、マタニティ市場は小さく、少子化で縮小する一方。マタニティウエアにかける総額も2万円台。でも出産を機にファッションが変わったというデータや、周りのママたちの『着たいマタニティウエアがなかった』『メンズサイズを着ていた』という声もあったので、こういう市場だからこそ満足していない人がいるんじゃないかなと隠れたニーズを期待したんです」
とはいえ、ザ・ノース・フェイスの機能素材を使ったアウターは、とても2万円台では世に出せない。だとしたら「産後も長く使える」ものが絶対条件であると導き出した。