「東宝ビル横」の広場に集まる少年少女たち
「トー横キッズ」と呼ばれる未成年たちがこの夏、メディアを賑わせている。東京・歌舞伎町(新宿区)で、コロナ禍にもかかわらず路上飲みなどを繰り返している。中高生も目立つ。8月には、その一人である15歳の少年が、ホームレスの60代の男性への傷害容疑で書類送検された。
日本一の歓楽街にある現場を訪ねるとともに、ある古株メンバーに話を聞いた。飲酒のほか薬物大量摂取や援助交際などの危険と隣り合わせながら、トー横が彼らにとって「避難所」としての役割も持っている側面が見えてきた。
8月下旬、プレジデントオンラインの女性編集者と2人で現場入りした。午後5時半過ぎに、歌舞伎町1丁目にある「新宿東宝ビル」横の路上に着いたが、この日は全くのゼロだった。1~2人、それらしい少年や少女を見かけたが、複数人でたむろしているグループは一つもなかった。
筆者はこの春から定期的にウォッチしており、普段はこの時間でも十~三十数人のトー横キッズを目撃してきた。なぜ、彼らはいなくなったのか。トー横の古株だというヤスアキ君(仮名)に取材を申し込むと、匿名、年齢非公表、写真NGを条件に、この日とは別の機会に話をしてくれた。
60代男性を暴行した15歳少年の素顔
――ホームレスの60代男性に暴行しけがをさせたとして、傷害容疑で広島市の15歳の少年が書類送検されたと8月23日に報道がありました。彼もトー横キッズと言われています。
それ、ケン(仮名)ですね。友達っす。ケンのタイプは、普段から元気にイキり散らかしてる感じかな。盛り上げ役で、「俺がトー横の王だ!」とかワイワイやっている。15歳が酒を飲むのはダメでしょうけど、僕からするとかわいい奴なんすよ。
トー横に来るようになったのは、今年の春ぐらいかな。ケンの親は構わないから、自由にやっているみたいだった。最初から目立って面白かったけど、カネはなかった。だから、ケンのことを気に入った女の子に「飼われる」ようになったんですよ。
――ん? 「女の子に飼われるようになった」とは?
トー横には、親元を出てきて歌舞伎町でホテル暮らしをしている女の子がいるんですよ。彼女たちは風俗で働くとか、援助交際やパパ活で稼ぐとかしている。一部はお金を自分の推しである、ホストや地下アイドルに使っている。そうじゃない子は、トー横の男の子に貢ぐんだよね。