発酵させた和菓子「くずもち」とは?

ところで、和菓子にも発酵させて作られたものがあるのをご存じだろうか。それは、どんな和菓子かというと、「くずもち」だ。

ただし、「くずもち」は「くずもち」でも、東京を中心に、近県の神奈川や千葉で古くから食されてきた「久寿餅」だ。東京や神奈川、千葉以外の地域では、「くずもち」というと「葛餅」だろう。この和菓子は、読んで字のごとく、葛粉を練ったもの。発酵食品ではない。

「江戸久寿餅」のショーケース(撮影=道井さゆり)

一方の久寿餅は小麦粉からグルテンを取り除いた「小麦でんぷん」を発酵させて作る、れっきとした発酵和菓子なのだ。しかも、洋菓子と比べて低カロリーなうえに、卵や乳製品も不使用でグルテンフリーだからアレルギーが気になる人も安心だ。

卓球の伊藤美誠選手が食べる姿が話題に

「久寿餅」については、東京五輪閉幕後、ひょんなことからスポットライトが当たった。

金城実、作間由美子『免疫は発酵食品でぐんぐんあがる』(プレジデント社)

卓球金メダリスト伊藤美誠選手のオフショット写真を投稿しているスタッフのインスタ(@mima_staff)に、創業60年以上の山信食産が立ち上げたブランド「江戸久寿餅」のハート型の久寿餅を、練習後、おいしそうに食べる伊藤選手の写真がアップされ、ネット上で「あの和菓子はなんだろう」「どこで買えるのだろう」と一時、話題となった。

ちなみに、「江戸久寿餅」は「小麦でんぶん」を730日以上もの時間をかけて自然の力で長期間乳酸発酵させている。そこに添えられる黒蜜はビタミン・ミネラル豊富、きな粉も畑の肉と言われる大豆から作られた健康にいい自然食品だ。

東京五輪で伊藤選手が混合ダブルス、シングル、団体と大活躍できたことと、発酵おやつ「久寿餅」との因果関係はさだかではないが、免疫力を高めたいいま、食してみたい発酵食品である。

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