4つのケースで見る、繰り下げ受給の損得判断

では、働く女性向けに「繰り下げ受給が向いている人、向いていない人」のケースを見てみよう。

ケース1

シングルで1人暮らし。ねんきん定期便を見ると、年金額は180万円くらい。この年金額で老後を暮らしていくことに不安を覚えるので、繰り下げして年金額を増やしたい。65歳以降も何らか仕事を見つけて、できるだけ長く働くつもり。
→繰り下げは、向いている。

年金額180万円で暮らすのは、確かに不安なことだろう。仮に70歳まで繰り下げると、年金額は約256万円になる。繰り下げ受給をすることに大賛成。

繰り下げている間は、働いて得た収入で暮らしていくことが肝心だ。完全な年金生活に入る前に老後資金を取り崩すのは必要最低限にしよう。

繰り下げ受給するなら65歳以降も働く

ケース2

シングル。老後資金は1000万円ほど貯まった。65歳以降は今の職場で継続して働くことができないので、仕事をするつもりはない。年金額を増やすことには興味があるので、老後資金を取り崩しながら生活をし、5年くらい繰り下げて70歳から受け取ろうかと考えている。
→繰り下げしたいなら、65歳から働ける職場を見つけること。働かないなら、繰り下げは向いていない。

繰り下げをするなら、その間、働くなど、他に収入を得る見込みがあることが大前提だ。

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仮に65歳以降の支出を年200万円まで切り詰めたとしても、5年間で1000万円。65歳以降働いて収入を得なかったら、70歳までに老後資金をすべて使ってしまうことになる。

大きな病気や災害などの不測の事態に備えるため、ある程度まとまった金額の老後資金は必要。繰り下げをしたいなら、65歳以降の仕事を確保すべく、準備をはじめなくてはならない。