夫が亡くなった後の年金は3つの選択肢がある
ケース3
長い間、夫と共働きを続けてきた。夫婦2人分の年金収入があるうちは、老後の支出は赤字を出さずに賄えそう。でも、夫が亡くなった後は、自分の年金だけで暮らすことになるのが少し心配。夫が10歳年上であることを考えると、ひとりの生活が長くなりそうな気がする。
→繰り下げは向いている。
共働き夫婦は、老後に「ふたり分の厚生年金」というご褒美を受け取れる。長年会社員や公務員として共働きを続けてきた夫婦は、ふたりの年金を合わせると400万円以上にもなるケースも多く、その場合、年金生活に大きな不安はない。
しかし、一方が亡くなると年金収入は大きく減ることになる。10歳年上の夫に先立たれた後に備えておきたいという気持ちは理解できる。
共働き夫婦のどちらが亡くなったあとに支給される年金額は、次の3つのうち、いずれか高い金額を選択することになる。
2.夫婦合計の老齢厚生年金の2分の1+自分の基礎年金
3.自分の老齢厚生年金+自分の基礎年金
ポイントは、「自分の基礎年金+厚生年金」+「夫の遺族厚生年金」にはならないことだ。ひとりになると、ふたりのときに比べ、かなり年金収入は減ることになる。
年の差カップルは、繰り下げ受給で自分の年金額を増やすことを検討してもいいだろう。1人暮らしになった妻の長生き対策にもなる。
老後の収支がトントンなら繰り下げの必要なし
ケース4
シングルで老後が心配だったから個人年金を2本かけてきた。おかげで65歳以降は、働かなくても公的年金と個人年金の収入だけで、収支トントンの暮らしができそう。老後資金も貯めてある。さらに繰り下げを検討したほうがいいものか。
→繰り下げしなくてもいい。
公的年金と個人年金で支出が賄えるなら、無理に繰り下げをしなくてもいい。
ポイントは、繰り下げている間、老後資金を取り崩さず支出が賄えるかどうか。「働かなくても収支トントンの暮らしができそう」とあるので、繰り下げをする必要はない。
繰り下げするなら、その間は働いて収入を得ることが不可欠
4つのケースで「年金の繰り下げが向いている人、向いていない人」を紹介した。
「働く女性」という切り口でも、シングルまたは配偶者がいる人、貯蓄や年金の額、65歳以降の就業意欲など個別事情により、「向き」「不向き」のアドバイスは異なる。
「年金額が少なく、不安」という人は、繰り下げ受給は検討に値する。ただし、繰り下げ期間中は、老後資金を取り崩すことなく、働いて収入を得ることが不可欠であると覚えておいてほしい。