3:実際に中小企業に採用された氷河期人材の特徴

報告書によれば、中小企業に採用された氷河期人材にも、共通の特徴があることが明らかになっています。

不本意非正規である氷河期人材の方で、新たに中小企業で正社員にチャレンジする人の多くは、未経験や経験値が浅くても自分が携わってきた経験やスキルを活かしたいという意欲をもっていることが特徴的です。

募集時に会社が必要としていたスキルではなくても、派遣社員時代に身に付けた類似スキルを活かしながら活躍している人もいます。

例えば、EC担当を求めていた企業に採用された人で、ECの経験はなかったものの、ウェブデザイナーのスキルが活かせたというケースです。非正規雇用の期間が長いことをネガティブにとらえず、今までの経験やスキルで活かせるものを考え、前向きな気持ちでチャレンジすることが何よりも重要だといえます。

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また、正社員化に成功した人の多くは、就職前に、さまざまな不安を抱えていましたが、自分の強み・弱みを改めて分析・把握し、面接時に適切な答えができるような準備や、ホームページで企業理解を深め、業界動向、魅力や課題などを調べるといった下準備を行っています。面接当日は、自信を持ち、明確で正直な受け答えを心掛けた人や、ポジティブさの心掛け、清潔感や丁寧さ、目に見える努力をアピールした方もいます。

氷河期人材を採用する中小企業は、前述した通り、人物評価で今後のポテンシャルを見る傾向があります。そのため、雇用形態ではなく、何よりも今までの自分の生き方に自信を持ち、ポジティブな気持ちで就職活動を行うことが必要だといえます。

実際、筆者がお伺いした方のなかに、総合人材サービスパソナグループの「就職氷河期世代 Middles Be Ambitious」という制度を利用し、今までのキャリアを活かして転身した男性(現在38歳)がいました。

この男性は、モデルに専念するために大学中退後、劇団の立ち上げや、居酒屋でのアルバイト、競走馬の飼育、パチンコ店などの仕事を経験したそうです。

その後、37歳の時にパソナグループのグループ会社(兵庫県淡路島)に採用され、現在は飲食店の店舗責任者兼エリアマネージャーの仕事を任され、今までの仕事の経験を活かしています。

正規、非正規という雇用形態にとらわれず、過去に夢中になって取り組んだ経験、多種多様な職業の経験は、今後のキャリアに何らかの形でつながっているのだと感じます。

一方、自信がなく、ネガティブな気持ちで臨んでしまうと、ポテンシャルのある人材としての魅力を感じてもらえなくなる可能性があります。氷河期世代を採用するために面談をしている時点で、未経験者や年齢の高さはクリアをしていますので、仕事に対する高い意欲をアピールすることが大切だといえます。