「最悪のタイミング」で社会へ出た超不遇の人々
いわゆる「氷河期世代」は、現在40~50歳前後で、約1900万人。日本の総人口約1億2000万人の約15%を占めています。20~29歳が約1200万人ですから、若年層と比べて相当ぶ厚い層として存在していることがわかります(平成30年総務省調べ)。
氷河期世代は、バブル崩壊後の不況、そこからくる就職難、労働市場の規制緩和による非正規雇用の拡大など、不安定な社会情勢の中で常に振り回されてきました。
厳しい現実は、現在進行形で続いています。
昨今、サントリーホールディングスの社長が「45歳定年制」を提言したことは記憶に新しいところです。さらに、富士通やフジテレビジョン、JTなどの大企業が中高年世代の社員たちへ早期退職者募集を開始しています。
氷河期を勝ち抜いて正社員になり、年齢的に管理職になりつつある氷河期世代さえも「やっかいばらい」しようとしているのでは……と勘繰りたくなるような動きが目立ってきました。
その一方で、近年、厚生労働省は氷河期世代の就職・正社員化への支援をスタートさせるなどしています。社会に出るタイミングで苦労をした氷河期世代が、今度は社会からはじき出されようとしている──そんな危機感を、国も持ち始めていることがわかります。
“ブレインロック”が生きづらさを加速させる
氷河期世代が直面してきた困難な社会・経済環境に加えて、その「生きづらさ」をさらに加速させているものがあります。それは「脳の境界線」であると私は考えています。
脳の境界線とは、ある思い込みによって脳にロックがかかり、自分の思考や行動を制限してしまう無意識の働きのことです。
私はこうした脳の境界線のことを、「ブレインロック」と呼んでいます。