2:氷河期人材を採用している中小企業の2つの特徴

現段階では、氷河期人材を中途で積極的に採用している中小企業は、社会全体で見ても多くはないといえます。しかし、不本意非正規である氷河期人材が正規雇用として活躍していくためには、人手が不足している中小企業で働くことが選択肢の1つとして挙げられます。

では、どのような中小企業であれば、未経験の氷河期人材が活躍できるのでしょうか。報告書では複数の特徴が挙げられていますが、本稿では主な特徴を2つ取り上げます。

主な特徴の1つ目としては、人物を重視した採用方針が挙げられます。募集業務への関心の高さや仕事に対する向上心、謙虚さ、積極的などの人物面でのポイントを評価指標としており、経験の有無、年齢、前職の雇用形態は不問としています。

例えば、過去に夢中になって取り組んだ経験や趣味などを持つ人材は、採用後に活躍する人材が多いという現場からの声から、過去に没頭した経験や趣味に関する具体的な内容について質問を行った上で、採用を行っている企業(リサイクル商品を扱う業種)もあります。個人ユーザー向けに多種多様なリサイクル商品を扱っているため、生活全般のいろいろなことに興味を持ち、好奇心が旺盛であることは、仕事においてもプラスになっています。

ビジネスパーソンが連なって歩くシルエット
写真=iStock.com/metamorworks
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2つ目としては、未経験者である氷河期人材が活躍できる組織風土や人事制度の整備が挙げられます。今後の人手不足を考えると、未経験の人材を採用せざる負えない現実があるため、既存の社員が未経験でも受入れ、氷河期人材が疎外感を感じない風土づくりが必要であると考えます。未経験でも受け入れられるような方針を組織に発信し、しっかり育て、キャリアを積ませていく考えを持っている企業が事例では多く見られました。

年齢や過去の雇用形態を問わず、経験やスキルに見合った報酬を提供している企業や、タスクの細分化により未経験者が仕事をしやすい環境の整備、採用後の異動希望への対応、適材適所になるように努めている企業などが挙げられます。

氷河期世代は、バブル世代などに比べて、就職活動への失敗経験などから、性格が暗いといったネガティブな印象を持っている企業は少なくありません。ただし、採用したことで、真面目に一生懸命働き、定着率が高いなど、そのイメージが良くなる企業もあります。

従業員の多くがシニア層に偏っている中小企業であれば、氷河期人材を採用し、年齢層のバランスが良くなることは、今後事業を継続していく上でもメリットがあるといえます。