4:不本意非正規を減らすことが少子化問題の解消にもつながる
アルバイトやパートを転々としていた氷河期世代のなかで、中小企業(製造業)で正社員として就職した方々にインタビューした際、印象に残ったことがあります。
正社員になったことで変化したこととして、「生活が安定したので、結婚をした」「家を購入した」「子どもが産まれた」という声が多く挙げられていたことです。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に、独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた「ユースフル労働統計2019」によると、大学卒業後60歳まで勤務を続けた男性の生涯賃金(退職金含まず)は正社員で2億7000万円、非正規社員で1億6000万円、女性は正社員2億2000万円、非正規社員(フルタイム)1億2000万円だそうです。
不本意非正規を減らし、正社員として収入が増え、安定した生活ができる人々が増えれば、個人の幸福度が上がるだけではなく、少なからず少子化問題の解消にもつながるのだと感じます。
前出の“不本意非正規”の就職氷河期世代を4つに分類した部分で、②や③のタイプは支援が手薄であると問題提起しましたが、この層に対する支援を強化することは、経済的な効果も大きく期待できるところではないでしょうか。
大局的な視点に立ち、雇用の安定に向けた施策をより優先度を上げて、取り組んでいくことが必要なのだと考えます。