昨今、不遇な環境に自暴自棄になった人物の凶悪犯罪が増えているように感じられる。その原因として貧困、孤独、高年齢化などが指摘される。だが大多数の人は、それでも犯罪など起こさず自分の人生を懸命に生きている。何が両者を分けるのか。近著『できないのはあなたのせいじゃない』が話題の経済評論家・勝間和代さんは「自分で人生をコントロールできている実感があるかないかが大きいのではないか」という──。(第2回/全2回)

「自分は社会の被害者」という危険な思い込み

昨今、氷河期世代による凶悪犯罪の報道が目立ってきたことは、皆さんも感じているところと思います。

犯人の多くは無職、もしくは不安定な働き方をしており、困窮していて人間関係は希薄。孤独の中で思い込みを強固にしている人たちです。

「誰でもよかった」「幸せそうな人を狙った」「たくさん殺せば死刑になれると思った」といった犯人たちの言葉からは、「自分を受け入れてくれない社会ならば、死ぬ前にめちゃくちゃに壊してやる」といった、増幅された恨みを感じます。

就職難、非正規雇用の拡大という厳しい社会的、経済的状況の中で、自己効力感を失い、自尊心を大きく破損し、「自分は恵まれない社会の被害者だ」という意識を極限まで膨らませた結果といえるでしょう。

デモ行進で拳をあげて歩く人
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
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「社会を恨む人」「突破する人」何が違うのか

しかし、凶悪犯罪を起こす人物はきわめて少数です。大多数は、苦闘しながらもこの社会で懸命に生きています。

最初から正社員になれないまま社会人としてスタートしたものの、非正規雇用の形で働きながらスキルや資格を身に付け、実績を積んで希望する会社へ中途入社した人。

また、一流企業には入ることができず、比較的不遇な待遇で働きながらも、経験を積んで自ら起業した人。

このような人々も、現実にたくさん存在しています。

「社会を恨む人」「突破する人」──同じ時代を生きてくる中で、二者の違いはどこにあるのでしょうか?