「コーヒー飲料に関しては、手堅いニーズがあると思います。BOSSの缶コーヒー『無糖・ブラック』は眠気覚ましに愛飲されるケースが多いのですが、実は競合のほうが濃厚。でもうちの商品が支持されています。コンビニのアイスコーヒーも、“ちびだら飲み”をして、氷が溶けた段階になって流し込む――という消費者の方もいたほどです。心地よく飲めるのも嗜好のひとつになっています」(大塚氏)

筆者の取材結果では「飲料の種類や気分によって変わる」と感じた。前述のトマトジュースは「少しドロッとした味のほうが、リコピンなどの成分が効くように思う」(30代の女性)という声もあり、日本茶市場では「濃茶」も一定の支持があるからだ。

提供=サントリー食品
3月23日には全面リニューアルした

変化がめまぐるしい中、知恵比べは続く

健康志向を反映して、無糖飲料を好む人も増えた。国内飲料市場全体における「無糖飲料製品」構成比は「2018年は約49%」(全国清涼飲料連合会調べ)と、半数が無糖になった。

カテゴリー別では、2017年からコーヒーに代わって日本茶(麦茶も含む)が首位となり(飲料総研の数字)、無糖の炭酸水も驚異的な伸びを示す。ただし有糖を含めた炭酸飲料は一進一退だ。

「同じ消費者でも、いつも無糖を好むのではなく、有糖も楽しみますが、大きな流れとしては、できるだけ糖分を避ける『避糖化』にあります」と大塚氏は指摘する。

実は、2017年のクラフトボス発売前夜、当時のコンビニコーヒーの拡大は、「ブランドの危機だった」(大塚氏)という。事業環境の変化に神経を使いながら調査と分析を続けた。「コンビニコーヒーの隆盛は、消費者とコーヒー飲料との“出合い”の場が増えた」という認識で、自らや開発チームを励ましたようだ。

マーケティングの現場では「消費者はどんどん変化する」という認識があるが、近年は変化が速いのも共通認識だ。カフェを取材すると「若者はブラックコーヒーを飲まず、スイーツ系飲料が好き」という声も聞く。嗜好が多様化し、時に移り気な消費者の潜在ニーズ=「生活者インサイト」をどう汲みとるか。メーカー各社の知恵比べでもある。

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