清涼飲料が落ち込む中、BOSSが好調
晴れた日には心地よい季節となった。コロナ禍で外出自粛ムードが続く中、食品買い出しのため、近くのスーパーやコンビニの店頭をのぞくと、さまざまな清涼飲料が並ぶ。
巣ごもり消費の結果、清涼飲料市場は伸びているかと思ったが、実は2020年の販売数量は市場全体で17億7700万ケース(※)。対前年比93.4%と落ち込んだ。
※「飲料総研」調べ
「(昨年は)大人も子どもも在宅時間が長くなった結果、家庭の水道水からつくる飲料との胃袋争奪戦もあり、最需要期の7月に2年続いた冷夏、外出自粛による飲食店の(市販品での)購買控えなどの複合要因で、伸び悩んだと思われます」
飲料分野の首位ブランド「サントリー天然水」の責任者・平岡雅文氏(サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 ブランド開発事業部課長)はこう説明した。
2021年の市場全体の数字は18億1700万ケース(対前年比102.3%)の予想だ。コロナ前の2019年までは4年連続で19億ケース前後となっており、2021年の数字は2012年と同レベル。ここ2年のコロナ禍で、通勤や通学、出張や旅行、学生の大会や発表会も制限され、移動時に携帯できるペットボトル飲料の消費も影響を受けている。
市場の伸び悩みとは裏腹に、好調なブランドがある。サントリーのコーヒー飲料「BOSS」(ボス)だ。昨年の販売実績はコロナ禍で前年割れとなったが、1992年の発売以来、売り上げを伸ばしている。
今回は同ブランドに焦点を当て、消費者意識の変化も探ってみた。
15年で1.7倍に拡大し、ジョージアを猛追
まずは、2005年と2020年のブランド別数字を紹介しよう。
2005年には6000万ケース弱の「BOSS」が15年で1.7倍以上に拡大した。ここ数年は長年にわたり首位ブランドだった、コーヒー飲料「ジョージア」(日本コカ・コーラ)を猛追。2019年は一時上回ったほどだ。なお、商品の容器は缶とペットボトルが中心だ。
こうした躍進には何があるのか。実はあの商品が大きく影響していた。