集中力を発揮するには、どんな環境がいいのか。言語学者で明治大学教授の堀田秀吾氏は「作業環境としておすすめしたいのは『静かすぎないカフェ』。それには3つの理由がある」という――。

※本稿は、堀田秀吾『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)の一部を再編集したものです。

グラインダーでコーヒー豆を挽く
写真=iStock.com/burakkarademir
※写真はイメージです

脳は「同じ空間、同じ作業」ではすぐに疲れる

考えごとをするとき、根を詰めて作業や勉強をするとき、「一人きりの静かな空間で集中したい!」と思ったことはあるでしょうか?

一般的に仕事や勉強をする空間は静かであるほうがいいと感じる人は多いかと思います。

ですが、イリノイ大学のミータらは驚きの研究を報告しています。

ミータらは5つの実験を行い、次のどの環境で作業をするともっともパフォーマンスが高まるかを調べました。

①「騒音レベル低(50デシベル)……静かな事務所内程度」
②「騒音レベル中(70デシベル)……高速道路走行中の自動車内程度」
③「騒音レベル高(85デシベル)……救急車のサイレン程度」

この結果、②の70デシベルのときにもっともクリエイティビティが上がることがわかったのです。一方、③の85デシベルまでいくと思考の妨げになる、と報告されています。

つまり、ちょっとざわついている、くらいの環境のほうが脳にとってはいいということです。これは、特に「抽象的なものごと」を考えるときにいいようで、たとえばプレゼンの内容を考える、報告書をまとめる、新しい案を考える、戦略を練る、といった「考えごと」に適しています。

脳は新しい刺激を好みます。反対のことを言うと、同じ空間、同じ作業では脳はすぐに疲れてしまうのです。一つのことをじっと集中して行う、というのは苦手なんですね。