「コーヒーショップ・エフェクト」を活用して最適な作業環境を
その点、作業環境としておすすめしたいのは「静かすぎないカフェ」です。
理由は3つあり、一つは今お伝えしたように、ある程度人の声や食器を運ぶ音など、雑音があったほうが効率がよいからです。このことは、「コーヒーショップ・エフェクト」と呼ばれています。
理由の2つ目は、「香り」です。
ソウル大学のスーは、「コーヒー豆の香りには、活性酸素によって破壊された脳細胞を呼び戻す効果がある」ことを発表しています。この活性酸素とは、睡眠不足や疲労の原因とされる物質のことです。
この実験では寝不足のマウスの脳内を調べました。この状態ではストレスを抑制する細胞が少なかったのですが、マウスにコーヒー豆の香りをかがせたのです。すると、細胞の一部が回復する、という効果が見られました。
つまり、コーヒー豆の香りには疲労回復効果やストレス抑制効果が期待できる、ということなのです。たしかにコーヒー豆などの香りは頭がシャキッとするような、目がさめるような刺激がありますよね。
自宅で「脳がクリエイティブに働く」システムをつくる方法
そして3つ目のおすすめの理由は、「ルーティン化」による意識の切り替え効果が期待できるからです。
日常的に決まったカフェに行き、そこで作業を行うようにします。これを続けていくと、条件反射的に「カフェに行く」=「脳がクリエイティブに働く」というシステムができ、カフェに行くだけで集中できる(やる気のスイッチが入る)ようになるのです。
もちろんこれは、自宅などでも応用ができます。
「作業場所」を用意して、「この席、この机についたら脳がクリエイティブになる」というシステムをつくるのです。作業中には音楽やラジオをかけたり、あるいは家族の声や外の音がしたり、というのは脳への刺激になりますし、さらにコーヒー(香りが重要なので、豆だけでも可)を用意すればカフェと同じような環境になりますね。
いずれにせよ、「静かな場所でなければ集中できない」と神経質にならず、実際には多少ざわざわしていたほうがいいんだと、力を抜いてみてください。きっと、今までよりパフォーマンスがよくなるはずです。
ここでは、このような「集中」や「生産性」に関連する研究を見ていきたいと思います。