半年ぶりの集会で配られた3枚の資料

まず、本題に入る前にコロナ禍において創価学会がどのように活動していたのかを確認したい。実は今年の2月18日から、創価学会は対面での集会を一切禁止にしていた。

この頃は、2月3日に感染者を乗せたダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港し、2月13日には国内で初めての感染者の死亡例が確認されていたこともあり、組織内での感染症拡大を避けるための措置だったと考えられる。

いわゆる「座談会」などの小単位での集会も禁止され、信者たちが実際に集まることは一切なくなったという。

そのような状況のなか、8月30日に約半年ぶりの集会が、大阪各地の創価学会関連施設で行われた。特に集会の目的は告げられず、日時と場所だけが伝えられる形だった。

取材した現役信者が参加した集会では、感染症対策のため座席の間隔は空けられていたが、施設には300人ほどが集まったという。参加者のなかには「コロナなのにこんな人数で集まっていいのか」と不安をもらす人もいたそうだ。

その集会で配られたのが大阪都構想に関する資料だった。

B5サイズで3枚にわたる資料には大阪都構想の詳細や、実現した際のメリット、公明党が都構想実現に向けて行ってきた取り組みなどが記されていた。ただ、壇上の幹部は「みなさんで読んでおいてください」と説明するだけで、具体的に内容を説明することはなかった。資料を受け取った信者も一様にキョトンとしていたという。

都構想推進を妨げた「2つのイベント」

8月30日の集会で中心になったのは、都構想ではなく、別の話題だった。このとき創価学会は9月27日の「世界青年部総会」というイベントに向けて動いていた。これは創価学会の創立90周年を記念するもので、今年の目玉ともいえるものである。

イベントでは、世界各国の信者たちがYouTubeのLIVE配信で信仰体験を語る。コロナ禍で実際に集まるイベントを開けないため、リモート集会で会員のモチベーションを高める狙いがあったとみられている。

さらに、「世界青年部総会」の話題が終わると、11月中旬の「財務」の話題になった。「財務」とは、いわゆるお布施の集金活動だ。その場では、コロナ禍にどうやって幹部から一般信者に振込用紙を渡すのか、といったことが議論されたという。

つまり今回の11月1日の投票日は、「世界青年部総会」と「財務」という創価学会の2大イベントに挟まれていたのである。

実際に、8月30日の集会から9月27日の世界青年部総会まで、大阪の創価学会では都構想に関する動きはまったく見られなかったという。そもそも創価学会の選挙活動というのは綿密なスケジュールが練られており、国政選挙や地方選挙などの規模に関わらず、1年以上前から準備を進めるのが通例となっている。

創価学会の選挙活動では、時間をかけて信者に政策の説明をし、友人に公明党の実績を語れるようにしてから投票依頼を進めていくという”選挙の流れ”が出来上がっているのだ。

そのような創価学会における選挙の手法が使えず、しかも2つの大きなイベントに挟まれて活動期間が1カ月しかないという状況では、組織を動かすのは難しい。言い換えれば、現場の創価学会員にとっては、都構想にかかわっている時間はなかったのだ。