都知事選で落選した前参院議員の蓮舫氏のXでの投稿が物議を醸している。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「発端は、記者による蓮舫氏への批判的な内容の投稿だ。リベラル派とされる蓮舫氏が個人の『自由な言論』を縛るような投稿をした意味は重いのではないか」という――。
都知事選で街頭演説する蓮舫氏
都知事選で街頭演説する蓮舫氏(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

「ザ蓮舫さん、という感じですね」

発端は、ひとつの投稿だった。

「政治記者、解説者」とプロフィール欄に記す今野忍氏が、蓮舫氏X(旧ツイッター)でのポスト(投稿)に対して、「ザ蓮舫さん、という感じですね」との書き出しで、次のように綴った。

ザ蓮舫さん、という感じですね。支持してもしなくても評論するのは自由でしょう、しかも共産べったりなんて事実じゃん。
確かに連合の組合組織率は下がっているけど、それは蓮舫さん支持しなかったかではないでしょう。自分を支持しない、批判したから衰退しているって、自分中心主義か本当に恐ろしい(※原文ママ)

「事実じゃん」としながらも「本当に恐ろしい」と結んでいるので、今野氏個人の感想以上でも以下でもない。彼は、「発言は個人の見解です」とプロフィール欄に記しており、今回のポストは人格を否定しているわけではなく、容姿を嘲笑しているわけでもない。

記者の謝罪に対し、「終わらせません。」

労働組合の中央組織「連合」の芳野友子会長による都知事選の分析について、蓮舫氏がコメントし、それに対して今野氏が7月15日月曜日の午後8時18分にコメントした。それから22時間あまりが過ぎた16日火曜日の午後6時41分、今野氏が「お詫び」のポストを投稿している。

これまでの私の投稿に不適切な表現がありました。ご指摘を受け止めて猛省するとともに、関係する皆様に深くお詫び致します。

直後の同日午後7時42分、『女性自身』がオンライン上に「『極めて不適切な内容』朝日新聞 波紋呼ぶ記者のSNSでの“蓮舫批判”を謝罪…本人には厳重注意」とのタイトルで、この間の経緯をまとめた記事を配信した。

朝日新聞は公式には「謝罪」をしておらず、今野氏も、蓮舫氏に言及したXのポストを削除していない。具体的に、何を誰に対して謝っているのかも定かではないとはいえ、形の上では今野氏が謝罪している以上、これにて一件落着、となるかに見えた。

ところが、今野氏のポストから約4時間半後に、「終わらせません。」とポストしたのが蓮舫氏だったのである。