今野記者は蓮舫氏に謝っているのか?

さらに蓮舫氏は、下記のように続ける。

弁護士と相談しているところです。

まず。
朝日新聞への抗議ならびに質問状を出したいと考えています。

弁護士と何を、どう相談したのだろうか。朝日新聞に何を抗議し、どんな質問状を出したいのだろうか。

もとより、今野氏はXのプロフィール欄には「朝日新聞」に所属しているとは書いていない。彼のXを見れば明らかとはいえ、あえて書いていないところが、「発言は個人の見解です。リツイートは必ずしも賛意を示すものではありません」というプロフィール欄と符合するのではないか。あからさまに朝日新聞記者と名乗るわけにはいかないし、そのつもりもない。そんな組織人としてギリギリの配慮を、蓮舫氏は、ないがしろにしたのではないか。

この点をおくとしても、今野氏は、蓮舫氏に対しては謝罪していない。「これまでの私の投稿に不適切な表現がありました」と書いているのみであり、どの投稿がそれに当たるのか、あるいは、誰が「関係する皆様」なのかも明記していない。

本来なら「自由な言論」を守るはずが…

今野氏の態度への賛否は分かれよう。ただ、事実として今野氏が蓮舫氏に直接は謝っていない、それは確かなのである。

にもかかわらず、「終わらせません。」と書き、「私に言う前に何を言っておられるのでしょうか」と続け、今野氏が所属している(と見られる)朝日新聞への抗議・質問状を「まず」「出したい」と述べる。

その根拠は、どこにあるのだろうか。

このポストの根は深い。SNS、ひいては、インターネットにおける「言論の自由とは何か」を考えさせるからである。

蓮舫氏は、つい先日まで国会議員だったばかりか、立憲民主党の前身にあたる民進党という公党の代表を務めていた。しかも、リベラルを標榜している蓮舫氏は、本来なら自由な言論を守るべき立場のはずである。それなのに、発言者の所属先の特定を行い、さらには、謝罪が自分に向けられているかどうかの確認もせず、朝日新聞に「抗議ならびに質問状を出したい」と述べた。

当時民進党の代表だった蓮舫氏の厳しい追及を疑似体験できる「VR蓮舫」(2017年、民進党提供)
写真=時事通信フォト
当時民進党の代表だった蓮舫氏の厳しい追及を疑似体験できる「VR蓮舫」(2017年、民進党提供)