業界の壁や常識を何とも思わない経営者が参入
②エネルギー
エネルギー業界は国とのつながりも大きいですから、炭素を排出する火力発電が時代遅れだと多くの人が分かっていても、「でも、なくなりはしないだろう」と考えるわけです。このようなマインドは未来では成り立ちません。
イーロン・マスク氏のような業界の壁や常識を何とも思わない経営者が次々と参入し、業界を壊していく可能性が十分にあるからです。
テスラはすでにその動きを見せています。先に紹介したとおり、太陽光発電事業はまさにエネルギー業界への参入であり、環境への意識が高いカリフォルニア州などでは、テスラ自動車も含め、テスラの環境関連事業の推進に賛同。2035年からのガソリン車の新車発売禁止や税控除などで拡大を支援しています。
③金融
店舗を構える必要がなく、かつ利用者は手数料がかからないベンチャーの台頭などにより、従来型サービスを手がけている金融会社は、淘汰されていくでしょう。
銀行も同じです。ペイペイなどの決済サービスは次から次に登場していますし、フェイスブックを使えば、アメリカでは同じように送金が行えます。わざわざ手数料のかかる、既存の金融機関のシステムを使う人は、今後ますます減っていくことは間違いありません。
ただ先述したように、賢い金融機関はすでにこのような未来をイメージしていますから、台頭してくる企業の裏方に徹していくと思われます。つまりサービス業という業態から、インフラ的な業種への転換です。逆に、このような転換ができない企業は淘汰されることになります。
ゲームの成否を決めるのはハードの性能よりも体験
④ゲーム
スマートフォン用のゲームアプリを開発している企業は、この先も問題ないでしょう。
淘汰されるのは、もともと家庭用のゲーム機ならびに、ソフトウェアを作っていたゲーム会社です。クラウドストリーミングゲームへの対応の遅れが、その理由です。
これからのゲームは、ネットにつながっていることが標準機能となります。にもかかわらず昔からあるゲーム会社は、この機能が標準でついていないことが往々にして見られます。もちろんネットにつながるゲームもあるにはあるのですが、利用者が求めているニーズは、インターネット中継で大勢の人とゲームを楽しんだり、次から次に新しいソフトウェアがストリーミングされる体験です。
つまりハードの性能が成否を決めるのではなく、体験が重要なのです。
言い方を変えれば、いくら高性能なゲーム機であっても、ネットを介した大勢の人との体験できなければ、魅力が半減してしまうかもしれません。
ソニーと任天堂を見ていると、このあたりのトレンドに対する動きの違いが如実に分かります。ソニーはいち早く顧客のニーズをキャッチアップし、手元のゲーム機はクラウドにつながるためのエッジコンピュータと割り切って、開発が進められていきました。