「アマゾンエフェクト」という言葉があるように、GAFAのようなテック企業が業界ごとのみ込んでしまう例が増えている。ベンチャー企業投資家の山本康正氏は「データの活用が進んでいない企業が多い業界ほど危ない。具体的には小売りやエネルギーなど8つの業界に淘汰のリスクがある」という――。
※本稿は、山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
GAFA、テスラ、新興ベンチャーが業界をのみ込む
テクノロジー化が遅れている、データの活用が進んでいない企業が多い業界は、これからの未来では淘汰されていきます。特に、次に挙げた8つの業界が危険です。
①小売り
すでに淘汰は起き始めています。アメリカの高級百貨店「ニーマン・マーカス」が2020年5月に破綻。同じくアメリカで100年以上の歴史を持ち、850近くもの店舗を展開する大手百貨店チェーン「JCペニー」も同時期に破綻を申請。このような流れは、今後も続くでしょう。
ウォルマートは生き残ったのに、なぜ、彼らはダメだったのか。おそらく、これだけの規模の小売店ですから、データそのものはあったはずです。ただデータは持っているだけでは意味がなく、分析・活用して初めて価値が出ます。
そのことに気づいていなかったか。あるいは気づいていたけれど、実行できるデータサイエンティストなどの人材がいなかったことが原因でしょう。
またこの手の老舗企業は危機感がない場合や、顧客がいま何を求めているかが把握できていない場合も多く見られます。
たとえば店に立ち、お客様とコミュニケーションすることや、実際に商品に触れてもらうことに価値があるといったことだけを考えるとデジタルの手段を見逃してしまいます。新しいデジタル活用の1つの形としては有楽町などにオープンした、小売店舗をショールーム化しているシリコンバレー発のb8ta(ベータ)が参考になると思います。