一方、ニンテンドースイッチは確かにクラウドとつながりますが、常に、ではありません。さらにソニーはマイクロソフトと組むことで、クラウドに関する知見まで手に入れました。

任天堂が再起するための選択肢

おそらくこの先、任天堂もマイクロソフトのような企業と提携すると、私は見ています。

ソニーと同じくマイクロソフトなのか。あるいはアマゾンなのか。アマゾンは月額600円程度で遊び放題のアマゾンルナを発表しています。それともグーグルなのか。

アップルに関してはゲーム業界への参入も表明していますから、ゲーム業界はこの先大きな転換期が必ずや訪れます。音楽が定額制になったように、ゲームもストリーミングで定額制になるでしょう。その際の目玉コンテンツとして各社はゲーム開発会社を買収して囲い込んで競っているのです。

一つ言えることは、任天堂はファミリーコンピュータやスーパーファミコンといった製品で、業界のプラットフォームを取った実績がある、日本では数少ない企業です。

そして現在、代表取締役フェローの宮本茂氏は、マリオシリーズやゼルダの伝説シリーズなどを開発した世界からレジェンドと称される稀代のクリエイターであり、彼の遺伝子を受け継ぐクリエーション能力が、任天堂にはあります。

この価値を活かし、再び世界のプラットフォームを獲得してほしい。個人的にはそう願っています。音楽ではソニーはアップルに市場を取られました。同じことが任天堂に起きてほしくないのです。

古いポータブルゲーム
写真=iStock.com/Thankful Photography
※写真はイメージです

クラウド導入で旨味を失うシステム業界

⑤システム(SIer)

アメリカではクラウドでシステムを構築するのが広まっています。一方、日本はオンプレミスがまだ主流です。またアメリカではシステムは基本内製化で、自分たちでは難しい箇所だけをSIer(エスアイアー)に頼むのに対し、日本ではエスアイアーに丸投げしている企業が多いです。

そのため、エスアイアーの言われたままにシステムの設計や金額にも応じている状況もあります。

なぜ日本のエスアイアーがクラウド化を積極的には進めないのか。従来どおりサーバを使って構築したオンプレミスなシステムであれば、永続的にメンテナンス費用が発生しますから、ビジネス的に旨味があるわけです。

一方、クラウドを導入してしまうと、当然ですがそのフィーは入りません。クラウドを運営するGAFA、マイクロソフトなどに、主にお金が流れるからです。

しかし黒船GAFAは、日本の本丸とも言える政府基幹システムの一部を受注をするような状況です。その結果、デジタル庁構想もあり自治体などの公的機関のシステムはもちろん、ありとあらゆるシステムがクラウド化の流れに進みます。