悪いのは本当に「夜の街」の人たちなのか
感染の拡大をいわば社会のマイノリティーのせいにしようとした前述のドイツの州首相ですが、どこかで聞いたことのある言い方だな、と思っていたら、それは会見で「夜の街の方々」を繰り返していた小池百合子都知事でした。
東京都知事も州首相も「マイノリティーに責任がある」とはっきり言ったわけではありません。けれども、繰り返し「国名」について発言をしたり、頻繁に「夜の街」という言葉を使うことで、世間に「責任は彼らにあるのだな」と印象づけることができました。政治家が自らの責任から逃げる手法としては実に有効です。
そうでなくても「自己責任論」が強い日本の場合、マジョリティー側にいる人間は「自分たちとは違う行動をするから、彼らは感染した」と考える傾向があり、前述のような政治家の発言は日本の「自己責任」の風潮にますます拍車をかけています。
自分が元気なうちは、コロナに感染した人を「自己責任」と切り捨てることを当たり前だと思ってしまいがちです。しかし、いつ自分が感染するかもわかりません。他人に厳しくしていると、まわりまわって自分の首を絞めることになるので、「自己責任」という言葉の使用もほどほどにしておきたいものです。