なぜ日本の学校には「校則」があるのか。ドイツ育ちの作家サンドラ・ヘフェリンさんは「ドイツでは校則がなく、生活態度は基本的にノータッチ。学校は勉強をするところで、子どもの人間教育は家や親がやるものと考えられています。日本とは真逆のようです」という――。
※本稿は、サンドラ・ヘフェリン『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
ドイツで「ニッポンの学校」に恐れおののく
中学生の頃、私はドイツに住んでいて現地の学校に通っていましたが、毎週土曜日に通っていた日本人学校の友達の家で見た「ぼくらの七日間戦争」という映画は衝撃的でした。
毎朝スカートの丈やら前髪の長さなどを先生にチェックされるバリバリの管理教育の中学校生活が映し出され、その後生徒たちが学校と闘うというストーリーですが、初めて見た時は、これはあくまでも映画の中のことであり、まさかニッポンの中学校の現実だとは思ってもみませんでした。
しかしその後、日本から送られてきた中学生向けの雑誌で校則に関するすさまじい体験談を読み、ドイツにいながら「ニッポンの学校」というものに恐れおののきました。
載っていた記事は「強制的に髪の毛を先生に切られた」とか、「女子のスカートの長さが決まっている」だとかドイツの生徒たちからしたら信じられない内容のものばかりでした。
私が通っていたのは、ギムナジウムという将来は大学進学を希望する生徒向けの学校でしたが、同級生は成績優秀であっても、当時流行りの膝がビリビリに破れたジーンズを穿いて登校してましたし、イヤリングもサイズが大きい大人びたものをつけていました。
一方、日本から送られてくる中学生向けの雑誌には「校則に縛られる生徒たち」という別世界のことが描かれており、自分なりにいろいろと感じるものがありました。