80年代の後半に日本に来て、日本人の男性と結婚した3人の子どもがいる東京在住のスウェーデン人女性は、日本語がペラペラで、仕事も持ち地域にもなじんでいます。
子どものPTA活動などを通して日本の教育とも関わってきた人物ですが、そんな彼女でもビックリ仰天したのが「日本の校則」だといいます。
彼女自身は金髪で、日本の中学校に通っていた娘さんは「ハーフ」だと分かる容姿です。もともと教育熱心であるため、学校に顔を出すことも多く、関係者も「生徒の母親が外国人である」という事実は把握しています。
それにもかかわらず、ある時、彼女のもとに学校の先生から電話がかかってきて、先生にこう確認されたのだといいます。「失礼ですが、お子さんの髪の色は子どもの時と同じ色ですか?」と。
「茶髪証明」で幼少期の写真を求められる
初めは質問の意味が分からず、「はい、そうです」と答えると、先生は「念のために幼少期の写真を提出していただけないでしょうか」と言われたというのです。
他の母親や娘と話す中で、ようやく彼女は「日本の校則では黒髪のみが許されていて、他の色の髪の場合は、生まれつきその色であることを証明しなくてはいけない」というトンデモ校則があることを知ったとのことでした。
こんなにもくだらない校則があるのかと母親としてショックを受けたそうですが、面白いのは、彼女が先生からの電話を「はい、もともとその色です。それ以外に何か用ですか? 切りますよ」と電話を切ったことです。
改めて考えてみると、人に対して「あなたのお子さんの容姿について確認します」と告げること自体が失礼です。ところが「校則」という名のもと、この手の行為がまかり通ってしまうのがニッポンの教育現場です。
「頭髪指導」や「地毛証明書」がまかり通る愚
生まれつき髪が茶色の高校生が、「教師から黒染めを強要され精神的な苦痛を受け不登校になった」として17年に裁判を起こしました。この裁判をきっかけにメディアでも髪にまつわる理不尽な校則について話題になりました。
全国的な調査で明らかになったのは、「生まれつき茶髪や金髪の高校生の2割が黒染めをさせられている」という事実です。
少女が裁判を起こした大阪府では、17年当時府立高校の9割が何らかの「頭髪指導」を行っていることが分かりました。朝日新聞の東京都内の調査によると、都立高校の6割が髪の色が黒ではなかったり直毛ではない生徒に対して「地毛証明書」の提出を求めていました。
訴えを起こした少女も高校生でしたが、不思議なことに「髪の色」に関しては「中学校」よりも「高校」のほうが厳しいようです。全国の高校生の2割が黒染めを経験していますが、中学生は1割程度です。