2月27日、新型コロナウイルスへの感染対策として、安倍晋三首相は全国すべての公立小・中・高等学校に対して、3月2日から春休みまでの休校を要請した。子どもにはどんな影響が及ぶのか。著書『先生も大変なんです』(岩波書店)で学校現場の本音を書いた公立小学校教諭の江澤隆輔氏は「突然の休校要請は、教育現場の専門知を踏まえたものだったのか疑問だ」という——。
先生もニュースで知らされた休校要請
2月27日の18時半、私は安倍首相による全国一斉の休校要請というニュースを、呆然としながら見ていました。木曜日夜の通知で、週明けから休校ということは、あとたった一日で長期の休みに入ってしまうことになります。まだ授業範囲も残っており、テストもありますし、通知表だって用意していません。私が住む福井県ではまだ感染者が見つかっていないこともあり、自分たちの地域まで一斉に、いきなり休校になるとは、予想外だったのです。
折しも翌日28日は、午前から「卒業生を送る会」を予定していました。教職員が揃った段階で緊急の職員朝礼があり、「行事は実施」「行事中全児童はマスク着用、会場は要換気」と、感染面での配慮をした上、まずは午前中の予定までが決まりました。急いで担任する5年生のクラスに向かいます。
教室に入ると、すでにニュースなどで状況を知っている子どもたちは、「今日で終わりなの?」「宿題はどうなりますか?」など、口々に聞いてきます。国からこういう要請が来ているということ、実際にどうするかは話し合っている途中だと伝え、まずは「行事に集中しましょう」と、午前中の卒業生を送る会を行いました。
その後、教育委員会の緊急会議から校長が戻り、職員が集まりました。結果、感染拡大の予防のため、その日を持って休校とすることが確定しました。それが、午後1時半ごろのことです。