非日常な状況に興奮していた5年生
そこからは、本当にバタバタでした。急遽、校長から直接子どもたちに事情の説明と、今日で学校が終わりになってしまうことを伝え、各クラスで下校の準備に入ります。掲示してある自分の作品を外し、机やロッカーの荷物を整理するように伝え、教師が保管していた子どもの図工作品を配布します。1年間の荷物を整理して、どう持ち帰るか、休みの間どう過ごしてほしいかを伝えていると、あっという間に子どもたちが学校を去る時間になってしまいました。
私が担任する5年生は、非日常的な状況に興奮したり、単純に休みが増えることを喜んだりと、必ずしも暗い雰囲気での別れではありませんでした。しかし、同僚の6年生の担任は、突然別れなければならないクラスの子どもたちを前に、複雑な思いで送り出したようです。
こうして、唐突に訪れた「最後の一日」は終わりました。これほど先が見えず、混乱する状況は、おそらく多くの先生にとっても一生に一度のことではないかと思います。
インフルで「1週間学級閉鎖」より長い休校
この休校で起こる最大の問題は、学習機会の喪失です。全国の大半の小・中・高が休校になったことで、約1カ月間に渡って1000万人以上の子どもたちが授業に参加する機会が失われます。このことが子どもたちの学びや学力に与える影響は深刻です。幸い勤務校では、3学期から授業と家庭学習で一貫して使える学習冊子を使っており、そのまま家庭学習に移行するように伝えることができました。とはいえ、授業をできないということは大きなマイナスで、この影響をできるだけ抑えるように、プリントや課題を用意したり、あるいはオンラインで学習したりできないか、など、それぞれの学校で、多くの先生が知恵を絞っている状況だと思います。
例えば、インフルエンザで1週間学級閉鎖になると、そのクラスだけ分数を学んでいない、割り算が途中といった事態が起こります。それを取り戻そうにも、やりくりできる時間は限られていますから、休み時間に子どもたちが課題を行い、放課後に教師が学習をみることが続くようになります。残念ながら、それだけやっても、学級閉鎖時期の学習内容が十分に定着しない子どもが出てくることは避けられません。