安倍晋三首相による政治決断で、全国の小中高校の大部分が3月2日から一斉休校に入った。2009年に大阪府知事として府下中高の一斉休校を断行した橋下徹氏は、この段階での大胆な決断を評価しつつも「リスクコミュニケーションが不十分」と指摘する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(3月3日配信)から抜粋記事をお届けします。
自民党の岸田文雄政調会長(左から2人目)らから新型コロナウイルス関連の提言を受け取る安倍晋三首相(同3人目)
写真=時事通信フォト
自民党の岸田文雄政調会長(左から2人目)らから新型コロナウイルス関連の提言を受け取る安倍晋三首相(同3人目)=2020年3月3日、首相官邸

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一斉休校の目的を「子供を守るため」としたから起きた大混乱

2月26日に、安倍晋三首相は「大規模イベントを自粛してほしい」と発信し、27日には「小中高校は3月2日から春休みまで休校にしてほしい」と発信した。

このことで日本中において激しく賛否が沸き起こった。

僕は安倍さんのこの方針には賛成だ。しかし、国民に対する説明の仕方、つまりリスクコミュニケーションは不十分だったと思う。

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爆発的感染拡大(ピーク)を抑えるためには、人の活動を抑制するしかない。

しかし成人の活動を抑制するとなると、企業活動全体を抑制することになり、経済へのダメージが著しい。だから日本の総人口の1割ちょっとにあたる約1400万人の小中高生の活動を抑制する選択をしたのが一斉休校だ。

特に、学校という場所は感染拡大のエンジンとなることがわかっている。子供たちの活動は激しいので、接触感染や飛沫感染が広がるのだろう。100年前に大流行したスペイン風邪においても、軍と学校が感染エンジンになったと言われている。