安倍さんは、一斉休校の判断は、明確な根拠やデータに基づくものではなく、流行期への「気配」で行ったことを堂々と説明し、「明確な根拠やデータに基づいてやれ!」「明確な根拠を示せ!」と言ってくる批判者に対しては、「データを待っていたら遅いわ!ボケ!」と言い返してやったらいい。
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安倍さんは、新型コロナウイルスの感染拡大という危機時において、爆発的感染拡大を抑えるための一斉休校の策を講じる際には、明確な根拠を求めている時間的猶予がなかったことを積極的に発信していくべきだ。説明すれば多くの国民は理解してくれるはずだ。そして、爆発的感染拡大を抑え、時間稼ぎをしているうちに、新型ウイルスの実体が徐々に明らかになってくるだろうが、そのときには、一斉休校の策は修正していくことも併せて発信すべきだ。
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記録・文書の扱いが杜撰な政府は、結局、国民を不幸に陥れる
ただし本来は、首相がこのような大胆な策を打ち込めるような法体系を整備すべきだ。今はそのような法体系がないところが日本の最大の欠陥である。
もちろん、首相にそのような大きな裁量を与えるのであれば、事後に国会や裁判所がチェックできる仕組みも備えなければならない。そして事後チェックのためには、政府の意思決定過程などについて記録や文書が完璧に揃っていなければならない。
ところが今の安倍政権は記録や文書の扱いが非常に杜撰だ。このような政府が、俺たちに大きな権限を与えてくれ!と訴えても、国民は理解してくれないだろう。
記録や文書の保管は、政府が大きな権限を持つためには絶対に必要な条件だ。記録や文書の保管が杜撰な政府は、大きな裁量的権限を持つことができず、いざという危機事態のときに結局大胆な策を講じられず、国民を不幸に陥れてしまう。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.190(3月3日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【感染症と政治の役割(2)】安倍首相の「イベント自粛」「一斉休校」方針に賛成! 残された課題はリスクコミュニケーションだ》特集です。