思いどおりにならない他人を消化する
ずいぶん昔のことだけど、今でも思い出すとムカついてくる……。
そんなふうに人を強く恨んでしまう感情は誰しも持っているものです。その対象は子どものころから折り合いの悪かった親であることもあれば、別れた恋人やパワハラ上司、ひどい裏切り行為をした昔の友人かもしれません。
なかには会ったこともない人に対しても恨みの感情を抱いてしまうことはあります。いまテレビに映る、あなたの考えとはちがうことを主張する「あの人」などもまさにそうでしょう。
しかし、特定の人を恨み、許せないとき、あなたはその相手にとらわれているといえます。「恨みや許せないという気持ちを抱え続けること」=「相手の支配下にいる状態」なのです。
嫌な人ほど心の中で、「お元気で、さようなら」
まるで片思いの相手のように、1日中「憎たらしいアイツ」のことを考えているって、冷静に考えるとちょっとショックではないですか?
私のクライアントに、こんな経験を語ってくれた女性がいます。
美容業界で働いているEさんは、長らく理不尽な同僚に腹を立てていました。その同僚は、理由もなくEさんを無視し、本人のいないところで事実ではない噂話を広げ、ミーティングの内容を伝えずに仕事の邪魔までしてくるといいます。
しかし、原因がわからないので解決の方法も見つかりません。こちらから積極的に話しかけてみれば好転するかもと試してみても無視されてストレスが溜まるだけ。ならばと、こちらも無視するようにしてみたら、逆に同僚の存在が心の中でふくらんでいき、恨みの感情や、「許せない」というネガティブな心情が強くなってしまいました。
そんなとき、久しぶりに会った学生時代の先輩に相談すると、「嫌な人ほど『お元気で、さようなら』って心の中で言ってみて」とアドバイスされたそうです。「対人関係で嫌なことがあったら、私はそう考えるようにしているよ」と。
これは、「恨み」や「怒り」の支配下から抜け出る的確なアドバイスです。今後も、嫌な相手と物理的につき合いが継続するかどうかに関係なく。
「嫌な人ほど、お元気で、さようなら」は、嫌な相手を気にするのをやめ、自由になりましょうということ。つまり、ネガティブな感情を手放すことです。