人間関係を壊す「パッシブ・アグレッシブ」
「怒り」は人にダメージを与える感情です。怒りに任せて他人を怒鳴ったり、なじったりして言うことを聞かせている人は、相手とのコミュニケーションにいつかほころびが出ます。
それは誰もがわかっていること。「私は人に対して声を荒げたりしない」という人も多いでしょう。しかし、ここで取り上げるのはもっと巧妙な「怒りの使い方」です。
後輩が反省するまで、無視しておこう。
上司に仕返しをするため、作業の速度を落として困らせてやろう。
親子なんだから、言わなくてもわかるだろ?
夫婦なのに、なんで察してくれないんだろう?
上司に仕返しをするため、作業の速度を落として困らせてやろう。
親子なんだから、言わなくてもわかるだろ?
夫婦なのに、なんで察してくれないんだろう?
こうした「怒り」の感情が土台となった周囲の人たちへのネガティブな行動やイラ立ちは、「パッシブ・アグレッシブ(受動的攻撃性)」と呼ばれ、じわじわと人間関係を壊します。
「負の注目」は人生をみじめにする
怒りを直接的に表現することがなんらかの理由でできないとき、無視やサボタージュ、妨害・遅延行為、皮肉などによって相手を困らせ、遠回しに攻撃するのです。たとえば、親に怒られた後、すねて口をきかなくなったり、つくってくれた晩ごはんを食べなかったり、自分の部屋に引きこもって出てこなくなったり……。
こうした心理を、アドラー心理学のアルフレッド・アドラーは「負の注目」という言葉で解説しています。
「人は正しいことをして注目されないと、ときに『負の注目』を集めようとする。人生をみじめにするような努力はやめるべきだ」