フリードマン博士によれば、メモ取り法は大別すればリニア式(一般的な文字による書記)とノンリニア式(スケッチの利用や本人独自の分類、マッピング化など)があるが、その効果にあまり差はないという分析だ。一方で、ノンリニア式のほうが効果的だとする研究報告もある。多くの大学が推奨するコーネル式には両者をミックスできるという利点がある。

メモの効果の比較

メモ取りに関する研究者の近年の議論の的は、手書きのメモとノートパソコンや携帯端末のキーボードにタイプするメモの効果の比較だ。研究者の間でも意見は分かれているが、プリンストン大学とUCLAの共同研究が3種の実験の末に出した結論は「ペンはキーボードより強し」だ。

同研究ではまず、学生を手書き組とパソコン組に分け、学生が知らない内容の約15分間の講演をビデオで見せ内容をメモさせた後に、記憶を要する別の作業を5分間させてから講演内容の理解度をテストした。

その結果、講演で述べられた事実関係に関する質問では両者にほとんど差はなかったが、考察を要する概念的な質問では手書き組が優った(グラフ)。この結果を見て、「パソコン組の理解度が低いのは、パソコンでは聞いた通りの言葉をタイプしがちになるのが要因ではないか」という推察に基づき、実験2ではパソコン組に自分の言葉でメモするよう指示したところ、パソコン組のテスト結果はさらに低下した。メモできる文字量はパソコン組のほうが多いことに注目した実験3では、メモを見直して試験に備えるよう指示して1週間後にテストしてみたが、やはり点数は手書き組が優っていた。

この論文の著者のP.A.ムラー博士(プリンストン大学)とD.M.オッペンハイマー博士(UCLA、現カーネギー・メロン大学)の見解によれば、パソコンへのメモでは聞いた言葉のタイプに追われ、内容を理解し脳にプログラミングするというメモの本来の利点がなくなる可能性があるというのだ。

(写真=時事通信フォト)
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