フォーエバー21が「終わった」と言われる2つの要因

フォーエバー21は短期間に世界10カ国、約800店舗を持つまでに成長し、一時は文字通りファストファッションのライジングスターだった。それがこの9月、米連邦破産法(会社更生法)に申請した後、アメリカ国外の200店舗以上を閉店すると発表し、日本ではオープンから10年を迎えた今年10月末に、オンラインショップを含めた全店舗をクローズした。

フォーエバー21の失敗は基本的に、その大きな特色である大型店舗を短期間に増やしすぎたためと言われ、それらを減らし、家賃の負担が劇的に減れば経営が立て直せるという見方も強い。

しかし、そうではないかもしれない、フォーエバー21の時代はもう終わったという声も少なくないのである。

フォーエバー21が実店舗を増やしてきたこの数年間は、オンラインで買い物する人が急激に増加した数年間でもある。ファストファッションの世界にもその波は押し寄せ、特にZ世代(1990年代後半~2000年の間に生まれた世代)をターゲットにしたフレッシュなオンラインショップが急激に増えた。最小限の在庫で身軽な経営とSNSを駆使したマーケティングで強力な競合となった。

もう一つ、フォーエバー21の縮小を加速したのが、数十年にわたりアメリカの象徴だったモール文化の凋落である。ここ数年、全米の庶民的なモールは、アマゾンなどのオンライン・リテールに押されて閑古鳥が鳴き、「ゾンビモール」とまで呼ばれるようになっていたのだ。こうしたモールに入っているフォーエバー21にも客足が急激に減り、売り上げだけでなくイメージダウンにもつながったとされる。

しかし、それ以上にもっと決定的な時代の変化が起きていた。

路面店では「特別な買い物」をしたい

路面店のあり方そのものも大きなターニングポイントを迎えている。

オンラインショッピング全盛時代、Z世代の8割は路面店で買い物したいとは思っているが、便利さを考えると75%がオンラインで買うと答えている。そんな彼らが路面店での買い物で求めているのは、オンラインショッピングでは味わえない特別な買い物体験だ。

そんな彼らのツボにはまっているのが、先にオンラインでブレークし、ユニコーン企業となったショップが展開する路面店だ。

ニューヨークでD to C路面店の代表は、シリコンバレーでブレークしたオールバーズ(Allbirds)だ。「世界で最も履き心地がいい靴」の実際のはき心地を試しに来た多くの客でにぎわうが、それだけでなく、環境に優しいサスティナブルな靴づくりのフィロソフィーをいながらにして体感することができる。

筆者撮影
再生繊維などを用いたスニーカーを販売するオールバーズ(Allbirds)の店内。「世界で最も履き心地がいい靴」と評されている=アメリカ・ニューヨーク