こうした中、日本のユニクロもアメリカで存在感を放っている。特にダウンジャケットが軽く、折りたたんで持ち歩けるという他にないクリエーティブさ、アニメやスーパーヒーローなどとのコラボTシャツで、他にはないポップなエッジも兼ね備えているのが若者に人気だ。ジーンズ、Tシャツといったシンプルでベーシックなアイテムが、アスレジャーにもデザインアイテムにも合わせやすいというのも大きな魅力だろう。

かつて全盛時代だった頃のGapやJ.クルーに打ち出し方がちょっと似ているが、それに代わる中間的なポジションで、アメリカの時代のニーズにちょうどフィットしている。

総人口に占める白人率は6割まで下がっている

ところでこうしたサイトもショップも、若い世代に支持されるブランドやリテイラーはどこもさまざまな肌の色や体型のセレブリティやモデルを起用し、ビジュアル的にもダイバーシティを強く打ち出している点は見逃せない。

本稿に何度も登場している「ダイバーシティ」だが、日本でもダイバーシティ&インクルージョンという言葉がよく聞かれるようになった。

アメリカでダイバーシティという場合、多くの場合は人種の多様性を指す。1980年代ベビーブーマーが20~30代だった頃のアメリカは、人口の8割が白人だった。

ところが、80年代以降移民が急激に流入し、子どもに当たるミレニアル世代とZ世代はこれまでで最も多様な人種がいる世代となった。現在、ミレニアル世代の白人率は61%、Z世代は52%にまで下がっている。2019年現在、アメリカ全体の人口に占める白人率も6割台となっており、このままいくと、2045年までに過半数を割るとみられているのだ。

そんな中で、ダイバーシティに鈍感なブランドが支持されなくなるのは当然の流れと言えるだろう。これは何もファッションに限ったことではない。ミレニアル世代とそれに続くZ世代の登場がアメリカを大きく変えようとしていることがよく分かる。

フォーエバー21の“鈍感すぎる”過ち

ファッションビジネスにおけるダイバーシティとは何か。まず最初に、どんな体型の人でも着られるよう、サイズを豊富にそろえていることが条件だ。さらに、ブランドがあらゆる肌の色の人を対象としていることを表明するような企業ブランディングが、ウェブサイトから広告まで一貫していることである。

H&Mの場合は、2018年にダイバーシティにまつわる大きなミスを犯している。まず「Coolest Monkey in the Jungle(ジャングルで最もクールなサル)」の文字が書かれたフード付きスウェットシャツに黒人少年のモデルを起用し大炎上した。さらに同じ年、今度はフォーエバー21が、大ヒットしたマーベルの映画『ブラックパンサー』のキャラクターTシャツの発売に際しミスをしている。

『ブラックパンサー』はキャストにほぼ全員黒人を起用するなど、ピープル・オブ・カラーを強く打ち出した初めてのマーベル・ユニバース映画として大変大きな話題となり、まさにダイバーシティの時代を象徴するものとしてアメリカで絶賛された。