「嫉妬すると、動物も人間も脳の神経ネットワークが過剰に活動している状態になって、脳内の電流が記憶を司る海馬をビビッと感電させます。一種の発作を起こした状態となり、破壊的な人格に変わって相手を攻撃してしまうのです。先の『優越の錯覚』が強い人ほど、嫉妬の発作を起こしやすいことがわかっています」
米スタンフォード大学と科学技術振興機構の共同調査によれば、男性の多くが「自分は平均より22%優れている」と錯覚しているという結果が得られたという。
「厄介なのは、本人に嫉妬している自覚がないことです。周りでも、嫉妬深い人ほど『○○さんは嫉妬深いよね』などと他人のことを言っていたりしませんか? しかも嫉妬は脳の発作なので、自分が何をどんなふうに言ったのか、本人はあまり覚えていない。嫉妬深い人ほど、自分が嫉妬していることがわからないのです」
嫉妬している人は能面のような表情に
「嫉妬」の感情は見た目にも表れる。大嶋氏によると「嫉妬した瞬間の人間の顔は、能面のように無表情になっている」という。職場や学校などでの会話の途中、相手の顔が無表情になったときは要注意だ。
なぜ、そのような顔になってしまうのだろうか。
「嫉妬の感情の裏にあるのは、実は『孤独』です。自分よりも相手が愛情を受けているとみると、自分は愛情を受けられなくなる、1人になってしまうという不安感が募るのです」
さらに大嶋氏は、「社会的地位、コミュニケーション能力が高い人も嫉妬深くなりやすい」と注意を促す。
「実は最近、社会的地位が高い人ほど脳の背側縫線核の活動が活発だということが判明しました。この部位は、孤独の感情を司っています。つまり、社会的地位が高い人は孤独になりたくないがゆえにコミュニケーション能力が高い、ということなのです。一見交友関係が派手でキラキラしている人ほど、孤独になりたくなくて悩んでおり、嫉妬の感情にかられやすい。そういう人には嫉妬心を持たれないよう接するのが賢明です」
また、「あなたのことを思ってやってあげている、言ってあげている」と近づいてくる人にも要注意だ。
「相手のためによかれと思って何かするという人は、実は嫉妬からきていることが多い。典型例は親が子どもに『あなたのために言ってあげている』という親子間の嫉妬。上司が部下に説教するときもそうです。優れた子どもや部下であるほど、嫉妬の対象になりやすい。親の威厳、上司の立場を脅かされると考えるのです」。奥深く、恐い嫉妬の全貌を、1000人へのアンケートを基に解説していく。