バブル世代VSロスジェネ世代

プレジデント誌では、1000人の男女を対象に、嫉妬に関するアンケート調査を実施した。育った環境や経験の差による「嫉妬する対象の違い」が浮き彫りになった。

まずは「高級外国車に乗っている人を見て嫉妬するか」の回答を見てみよう。男性では40歳以上で40%前後、60歳以上は47%と半分近い人が「嫉妬している」、つまり高級車に乗っている人が気になるとしている。

「若年層は男性も女性も高級車にステータスを感じていませんが、50代後半の女性と40歳以上の男性は価値を見いだしている。これはバブル景気をリアルタイムで経験しているか否かが大きな分かれ目になっています。50代後半というと、ちょうどバブルのときに20代だった人たち。そのときの体験が忘れられないのでしょう。60歳以上の男性も、まさにバブルでおいしい思いをした人たち。人生経験によって嫉妬を感じる対象が大きく変わる典型例といえます」

一方で、若い世代が嫉妬を感じているのは「高級そうな服」。これには、「今の若者はフォトジェニックなSNS世代」ということが反映されていると大嶋氏は見る。

「24歳以下の若者は、インスタグラムなどでたくさん『いいね!』をもらっていることが嫉妬の対象になっています。60歳以上の数字が高めなのは、バブルの名残でしょう」

「高学歴」の項目を見ると、30代男性の数字が40%台と高くなっている。彼らはいわゆる就職氷河期の“ロストジェネレーション世代”だ。

「学歴さえあればあんなに就職で苦労することはなかったのに……という思いが透けて見えます。『有名企業に勤めている』の項目で30代後半男性が最も高いのもそういうことでしょう。逆に50代のバブル世代は就職で苦労しなかったので、あまり学歴に執着しない。このあたりのコントラストがはっきり見てとれます」

また、「金融資産」を見ると、違った背景が見えてくる。30代以上の男性の多くが嫉妬を感じている。一方で、50代前半だけ30%台と、前後の世代に比べて低くなっているのだ。

「これは『リーマンショック』で大損した世代ではないでしょうか。リーマンショックが起きたとき、ちょうど40代に入ったくらいの世代です。それなりの社会的立場と経済力を手に入れ、本格的に投資でも始めようかというときにリーマンショックに遭ってしまった。ひどい失敗を経験して、『もう投資なんてやるものか』と思った人が一定数いるのでしょう」

※調査概要 ビジネスパーソン1000人にインターネット調査を実施。調査期間は2019年9月10日~22日