結果・評価・成長が気になる女性たち
ライバルなどの人間関係では、人はどのようなところを見ているのか。女性の多くが反応したのが、「上司・先輩と仲がいい」「会社内に味方が多い」の項目だ。この結果に「男性と女性で嫉妬のメカニズムが違う」と大嶋氏は説明する。
「嫉妬にはテストステロンという男性ホルモンが関係していることがわかっています。テストステロンは競争心と密接に関わっており、一般的に、男性は出世や年収といった数値で見える部分で嫉妬心を抱くことが多い。一方、女性は人間関係が気になる傾向がある。私よりもあの子のほうがかわいがられている、好かれているといった周囲との関係性で優位にある人を妬むのです」
若者は飲み会嫌いと言われて久しいが、「自分より飲み会に誘われる」という項目では20代後半女性の56%が嫉妬すると最も高くなっている。同年代の男性の2倍近い数字だ。
「これは結婚相手を見つけるという背景も大きいでしょう。いつの時代も、社内結婚は1つの選択肢です。その場合、自分が呼ばれていない飲み会に他人が誘われていたら気になるし、ずるいと感じるわけです」
スタイルに関しては、60歳以上の男性も53%と高い。
「これは『三高(高身長、高年収、高学歴)がモテる男の条件』などと言われた世代でしょう。『年収』の項目は男女ともに全世代で高い数字を見せていますが、60歳以上は71%と特に高い。男性の価値観は、年齢を重ねてもさほど変わらず、男性は全般として自分よりも三高度が高い男性を妬んでいるということがよくわかります」
大嶋氏が意外だったと話すのが「自分よりも成長できる環境にいる」「仕事で結果を出している」の項目の結果が男性よりも、女性のほうが高く反応している点だ。
「働く女性が増加するなかで、出世についても競争心を持ち始めているということでしょう。これからの時代は女性のほうが上を目指してバリバリ働くということかもしれませんね」。ここでも、働く女性は自分よりも出世している女性を特に気にしているといえそうだ。
調査全体で見ても、「嫉妬する」割合は男性で41%、女性で42%と拮抗しているが、年代で見ると20代女性が48%と最も高い。「おとなしい」「ゆとり世代」というイメージが強いが、その裏側では周囲の人間を蹴落としてでも自分がのし上がるというたくましい女性が増えているのかもしれない。
心理カウンセラー
インサイト・カウンセリング代表を務める。米アズベリー大学心理学部心理学科卒。カウンセリング歴25年、臨床件数はのべ8万件以上にのぼる。著書に『消したくても消せない嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法』(すばる舎)など。