厚さ1mm違うだけでフィット感が全く異なる

藤井部長は「山陽女子ロードは申し訳ない気持ちで一杯でしたけど、名古屋ウィメンズで結果を残せて本当に良かったです。彼女のためだけに作ったシューズで、ここに至るまで本当に苦労しました。彼女のフィーリングをどのようにして商品に適合させるのか。そこが一番難しかったですね」と振り返る。

ドームランニング部の藤井雅義部長

また岩出は「シューズの開発に携わったことがなかったので、どんな説明をしたら伝わるのかわからなかった。サイズが1mm違うだけでフィット感が変わってきますし、ソールの厚さが1mm違うだけで、アキレス腱が痛くなったりするので本当に難しかったと思います」と話す。

そして7月2日、MGCで着用するシューズとユニフォームがお披露目された。勝負服はマラソンでは珍しいセパレートタイプで、上半身はオレンジ。シューズは自己ベストをマークした名古屋ウィメンズマラソンと同じブラックで挑むことになる。

勝負靴について岩出は、「薄底ではないし、厚底でもない。あえていうなら、『ちょい厚』です」といって、メディアに自社製品をアピールしていた。

社員360人が総出で岩出玲亜選手を応援に行く

MGCは東京五輪の最終関門というべきレース。オリンピックのメダルを目指す岩出にとっては夢の入り口だ。そしてランニングシューズのシェア拡大を狙うアンダーアーマーとしては絶好のPRの機会である。いわば“MGC戦略”ともいうべきものだ。

「アンダーアーマーの商品として、2021年をメドにトップランナーが勝負できるシューズを皆さんにお届けできるようにしたいと考えています。そのためには、MGCで彼女が東京五輪の代表を勝ち取ることが大きな転機になる。世間へのアピールとして、われわれはチャンスとしてとらえています」(藤井部長)

上級者向けの新シューズは、東京五輪のREIAモデルを一般向けにアレンジするかたちで作られることになるという。しかも国内向けではなく、グローバル展開していく予定。MGCの挑戦はアンダーアーマーとしても非常に大切な戦いになる。

ドームとしても会社をあげて岩出をサポートしている。そのひとつが、さまざまな種目のトップ選手が集うドームアスリートハウスでのトレーニングだ。岩出はマラソンランナーがほとんど行わないようなドリル(練習メニュー)や筋トレも積極的に取り組んできた。その結果、「走り」が変わってきたという。

トレーニングをする岩出玲亜選手

「以前はパタパタした走り方でしたけど、接地が短くなったことで、スプリント力が向上しました。レース後半にも余力ができて、名古屋ウィメンズマラソンでは40km以降にペースアップできました。実業団時代にはできなかった走りができるようになったと思います。MGCは誰かを意識すると良くない方向にいくと思うので、しっかりと自分の走りがしたい。好調であれば最初から行きたいなと思います」

9月15日のMGCには、ドーム社員360人が総出で応援にいくという。令和の時代を駆け抜ける岩出玲亜の活躍が、アンダーアーマーの未来を大きく変えるかもしれない。

(写真=アフロスポーツ)
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