BBCの5分番組を毎日タブレットで聴く

イーオン社長の三宅義和氏(撮影=原貴彦)

【三宅】英語に話を戻しますが、今でも西成さんが意識して学んでいらっしゃることはありますか?

【西成】意識していることでいうと、BBCの5分番組を毎日タブレットで聞いています。あとは仕事で普通に英語を使いますから。メールの2割は海外からですし、論文も全部英語。研究室には外国人が常時、誰かしらいるので楽しく英語を使っています。

【三宅】では大学生に論文を書かせるときも英語ですか?

【西成】もちろんです。今、科学の世界はグローバルに戦わないといけないので日本語の論文は全く意味がないんです。だから論文だけではなくゼミ自体も日本語禁止です。全部英語です。

【三宅】話すことも同じですか。

【西成】普段はよいのですが、週に1回あるゼミのときはみんな英語です。もちろん英語に慣れてもらう意図もありますけど、日本語が不自由な留学生もいるので。これ、全員が日本人だと途中で日本語が混じったりして盛り上がらないのですけど、1人でも外国人がいると本当によいですよ。必死に伝えようと皆頑張るので。

【三宅】それができるのはやはり学生さんが優秀だからというのもありますか?

【西成】いやいや、英語が苦手な学生もいます。でも、やるしかないので必死にもがいてもらっています。

難しい日本語ばかりを使う人は英語も下手

【三宅】いろいろな学生さんを見てこられて、最近の学生さんの英語力についてなにか感じることはありますか?

【西成】そもそも日本語のコミュニケーション力が落ちているような気がします。とくにそれを感じるのが言葉の置き換えです。日本語で難しい言葉ばかりを使って、わかりやすく言い換えない学生は絶対に英語も下手です。

【三宅】西成さんが最近書かれてベストセラーになっている『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』も、たとえが豊富で本当にわかりやすいです。

【西成】ありがとうございます。肝心なことは情報が相手に伝わることですからね。たとえば英語で「拒絶する」と伝えたいときに「refuse」という単語が出てこなかったら別に「say no!」でもいいわけです。「肯定する」なら「say yes!」でも通じます。難しい概念を喋らないといけないときでも、うまいアナロジーを思いついて相手に理解させられる能力は日本語でも英語でも共通だと思います。

【三宅】たしかにそうですね。