中期インターンシップは規制すべきなのか
このように考えていくと、次に議論すべきなのは、おそらく1週間程度の中期インターンシップです。この中期インターンシップでは、就活生のスキルやマインド、集団行動をつぶさに観察できるので、インターンからの採用が可能です。
具体的には、4年生になる直前の2月から3月にかけて実施される中期インターンが採用に直結できることになります。また、就活生のヒアリングからは、3年生の夏休みに実施される中期インターンに参加して、そのメンバーを早期に内定させる企業の動向も確認できています。
私は、現行の就活ルールで行われている、大学の学期中である6月からの面接選考よりも、4年生になる直前の2月から3月に選考を集中的に行うことが、就活を続ける大学生の学業の妨げにならないと考えています。その理由は「就活を"夏休みと春休み"に集中すべき理由」という記事で説明しました。
次世代を育てるためのインターンシップ
今、私たちが考えなければならないことは、インターン選考の「期日」ではなくて、インターンの「中身」についての丁寧な議論です。
企業と大学は、次世代育成のために連携をし、インターンシップを契機として継続的に大学生の成長をサポートしていくことで、国がのぞむ「主体的に考える」人材、そして、企業がのぞむ「変化に対応する」人材を育てていかなければならないのです。
大学教育の質的転換を求め、次世代を育てるために企業と連携し、「キャリア教育・職業教育の一環」として萌芽期から成熟期を迎えたインターンシップの社会的意義が今、問われているのです。
法政大学 キャリアデザイン学部 教授
1976年生まれ。博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめ、2008年に帰国。専攻は社会学、ライフキャリア論。著書に『先生は教えてくれない就活のトリセツ』(ちくまプリマー新書)、『ルポ 不法移民――アメリカ国境を越えた男たち』(岩波新書)など20冊。社外顧問・社外取締役を歴任。近著に『教授だから知っている大学入試のトリセツ』『辞める研修 辞めない研修―新人育成の組織エスノグラフィー』(共著)。