学生が講義を「創る側」になっていく

さらに、講義の受け手として参加するのではなく、講義を一緒に創っていく協力者となる学生も出てきます。その様子を感じ取れた瞬間に、私は司会やモデレーター、企画進行を全て受講学生に回すようにします。そこでうまくいった点、改善すべき点をフィードバックする役割に徹するのです。

インターンでは、受け手ではなく、創り手側に回らなければなりません。その経験を大学の講義でも取り入れるようにしていくと、社会での経験と大学での学びが連接し、変化を伴う自己成長が学生にもたらされるのです。キャリア体験の講義は後期に15回あるので、何回も社会人として行動する「練習」ができます。このようにして、主体的に考える姿勢ができあがってくるのです。

企業が求めているのは、社会変化を読み解き、自ら考え、柔軟に動いていける人材です。こうした人材になっていくためには、学生たちはこれまでの経験や価値観を一度リセットし、社会で求められるスキルを身につけ、コミュニケーションの仕方を開発していかなければなりません。その成長過程で、トランスフォーム(自己を変容)させるには、それなりの「期間」が必要なのです。

問題なのは「インターン」と称した説明会

さて、大学のインターンプログラムに関係なく、学生が自ら企業が提供するインターンにエントリーすることもあります。ここで問題となるのが、採用直結型のインターンです。

採用直結型インターンには、2つあります。(1)ベンチャー企業等で中長期でのインターン経験を通じて、そのままその企業に就職するケースと、(2)「インターン」という名称で、実質的には会社説明会を行い、そのまま選考につながるケースです。

(1)は採用だけを目的として、インターンを実施しているわけではありません。あくまでも、長期でのインターンを通じてトレーニングを積んだ結果として、インターン先の企業に就職しているのです。そこに問題はありません。

政府が問題視しているのは、(2)のケースです。「インターン」という名称を使うことで大学側が提供するインターンシッププログラムと同じようにみられるため、実態は選考プロセスであっても、早期に学生との接触が可能になっているのです。