現場の営業マンにはやっぱりこれ
8位の『企業参謀』著者の“和製ドラッカー”大前研一氏は日本のマネジメント層に非常に影響を与えた人物で、本著には彼の原点が詰まっています。また、日本企業にコンサルティングを広めた本でもあります。
1970年当時のビジネス書とは、国民的評価のある研究者や経営者しか書いていませんでした。今でこそ、もともと知られていない人がビジネス書の刊行を機に有名になったというケースは珍しくないですが、当時、若くして著書で名を上げた人は大前氏以外にいなかったはずと思います。
本書はやさしい内容ではないですが、新入社員に読んでほしいです。学生と違い社会人になってロジカルで戦略的な思考を身に付けなければならないときに基礎となる。漫画版があればより理解が深まるでしょうね。
10位の『営業マンは「お願い」するな!』は“営業の神様”の異名を取る加賀田晃氏による営業マンのための本です。
これは人に何かを売る、契約を取るという場面での、空手の型のような奥義が書かれている実践書です。例えば、営業のアポを取って契約を取らなくてはならないときに『ビジョナリーカンパニー』のような長期的なビジョンの話を読んだところで、即効性がありません。その点で、私がここまで紹介した本と少し毛色が違い、現場で力を発揮してくれる本です。
同書の内容は営業マンの心にガツンと直接響く衝撃的なエピソードが並びます。マーケティング戦略で売れるのは、消費者に対して商品をマス単位で販売する大企業の方がほとんど。彼らはあまりお客さんと正対することはありません。対して、不動産や保険の営業、コンサルタントなどは、お客さんと1対1で契約を取らなければなりません。後者のようなお客さんに直接セールスするすべての人に読んでほしいですね。
とくに「何も売らずに帰ることこそ無礼千万である」という言葉は強く印象に残っています。「売って差し上げるのがお客さんのためであり、『何も売らずに帰ることこそ無礼千万である』」と言い切っており、ここまでいくとすごいなと感心しました。ほかにも営業されることを嫌がっていた顧客に最後は感謝されるエピソードもあり、仰天します。とにかくエピソードが熱血で一歩引いて読むと心の距離感が生まれてしまうかもしれないので、できるだけ本に入り込み「私もできる」と営業の戦意高揚に使ってほしいです。