人を動かし、チームの生産性を上げるには何が必要なのか。「かたづけ士」の小松易氏は「かたづけを行うだけで、部下から信頼されチームの生産性も格段に上がる」という。2万人以上にかたづけ研修・講演を行ってきた小松氏が、その具体的な方法を解説する――。

※本稿は、小松易『「かたづけ思考」こそ最強の問題解決』(PHP研究所)を再編集したものです。

人を動かす力が、かたづけ思考で手に入る

かたづけ思考を習得することは、上に立って人を動かす力、すなわちリーダーシップを身につけることにつながります。どういうことでしょうか。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ExperienceInteriors)

まず、リーダーシップがある人とは、言葉に力がある人。ただし、口だけで行動が伴わなければ部下はついてきません。そこでまず、リーダーになる人は自分自身をリードする力、物事を先送りせずに進んで行う実行力を養う必要があります。

大前研一さんの運営するビジネス・ブレークスルー大学(オンライン大学)では、リーダーたるもの、メンバーをリードする前に、自分自身をリードできねばならないと教えています。かたづけは、この「リード・マイセルフ」の土台をつくってくれます。

リード・マイセルフで片づけに取り組んだ結果、「身の回りのかたづけができている」という状態そのものも、リーダーの言葉の力を裏付けるのに十分効果的なのです。

仕事をしていればおのずとモノは増え、職場は散乱していきます。

しかし、かたづけ思考が身につき、モノやコトのかたづけが習慣化している人は、常にデスクや身の回りの資料、パソコン上のデータまで、きちんと整理・整頓ができるようになります。

デキる人のデスクはかたづいている

例えば「パソコンと電話だけが載っているデスク」は、ほとんどの人の目に「きれいにかたづいたデスク」として映ります。デスクはかたづけをしている本人だけでなく、周りの人にもわかりやすく、気づかれやすい場所です。

このように、見えるところを常に管理し、不要なモノを処分して最適な状況を維持する=変化をつくり続けるということは、周囲から「あの人はしっかりやっている」という評価を得るのです。

ひと昔前は、デスク周りがキレイにかたづいていると、「仕事をしていないのでは」と思われる傾向がありました。しかし、時代は変わってきています。今は、散らかっているほうがむしろ古いのです。仕事もモノもいっぱいいっぱいで、デスクが書類で山積み状態のリーダーと、身の回りをかたづけて常に余力を残している姿を周囲に見せられるリーダー。いざというとき、部下が安心して頼れるのがどちらであるかは、明白です。