「孤独」から人々を救うビジネスは新たな成長産業になると孫正義社長は見ている。そこで、今後、ビジネスの重要なターゲットとなる単身世帯の消費動向とニーズを探ってみた。

男女の「シングル化」が、消費を大きく変える

「情報革命によって『孤独』という悲しみを減らし、人々を幸せにしたい」

ソフトバンク創業者、孫正義氏が2010年の「新30年ビジョン」発表会で強い思いを込めて語った理念だ。ビジョンの策定にあたって孫氏はツイッターで「人生で最も悲しいことは何だろう?」と問いかけている。すると、1日で2500件を超える意見が寄せられたという。最も多かったのは「身近な人の死(21%)」、続いて「孤独(14%)」「絶望(11%)」。身近な人、愛する人に先立たれた人は「孤独」になり、そして絶望もまた人を「孤独」へと突き落とす。孫氏が注目したように、果たして本当に「孤独」から人々を救うビジネスは新たな成長産業になるのだろうか。

はじめに、「日本の人口構成の推移」について見てみよう。日本の人口は08年をピークに減少し始め、強烈な少子高齢社会に向かっている。15年と40年(推計)で比べてみると、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は26.6%から35.3%に拡大、一方で15歳未満の割合は12.5%から10.8%に縮小する見込みだ。一人暮らしの高齢者は、625万人から896万人に増えると予測されている。

加えて、野村総合研究所の上級コンサルタント、石原進一氏は「単身世帯と生涯未婚者の割合が増えること」にも注目する。「15年の単身世帯の割合は一般世帯総数の34.5%でした。それが40年には39.3%まで増加すると推計されています」。つまり、40年には日本の全世帯の約4割が「一人暮らし」になるわけだ。逆に、かつて一般世帯総数の4割以上を占めていた「夫婦と子」からなる世帯は15年時点で26.9%だったが、40年には23.3%まで低下すると見込まれている。