この背景には現在のライフスタイルのインフラを築いた情報革命がある。次世代モバイル通信5Gのサービスが始まれば、ますます「1人の時間」が増えていくのは間違いない。孫社長は「情報革命で孤独という悲しみを減らしたい」と考えた。たしかにそれで幸せになれる人も多いだろうが、「孤独」そのものの受け取り方も変わり始めているのだ。

いずれにしても「孤独」が今後のビジネスの重要なワードになることは間違いなさそうだ。では、単身生活者の消費動向をどうつかまえればいいのか。また、どのようにすればニーズを呼び起こせるのだろうか。

「孤独な時間をどう使いたいのかは、人それぞれです。あえていうなら、積極的に楽しみたい人、リフレッシュに充てたい人、孤独から抜け出したい人――の3つに大きく分けられるでしょう。ですから、本人が1人の時間をどう感じるかによって、求めるサービスも変わる。このニーズを解読することがビジネスチャンスにつながります」(立教大学 経営学部の有馬賢治教授)

孤独ビジネスの多くは中小企業が手がけている。大企業のターゲットはまだファミリー層にあるからだ。だからこそ、ソロ生活者をターゲットとする孤独ビジネスはブルーオーシャンなのだ。

石原進一
野村総合研究所 上級コンサルタント
 

荒川和久
博報堂ソロもん ラボ・リーダー
 

有馬賢治
立教大学 経営学部教授
 
(撮影=榊 智朗、澁谷高晴、大沢尚芳)
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