700分13の狭き門をクリアしたハーバード仕込みのプレゼン

実は、藤田さんが参考にしているのは、留学先のハーバード大学の著名な化学者であるジョージ・ホワイトサイズ教授から伝授されたプレゼン術。1枚目のシートで、プレゼン内容を4つに分けての全体像を示す。さらに資料の一番上には結論を記すのも重要なポイントだそうだ。

写真=iStock.com/Tomwang112

「基本は手短にタイトに伝えること。人は長々とした話は最後まで聞こうとはしません。結論を最初に述べて、簡潔に説明する。スピード感が大切なことは万国共通です」(藤田さん)

プレゼンはたとえば、(1)「課題」、(2)「アプローチ」、(3)サプライズ、(4)次の一手――などの4つで構成。「文章の起承転結のようなものです」と藤田さん。最初にプレゼンの相手を話に引き込み(起)、主題を展開し(承)、視点を変えて興味を引き(転)、全体をまとめる(結)というわけだ。次に2枚目から具体的な内容に入る。

まず(1)の「課題」でも、最初に「結論」である「健康経営」を述べる。そして具体的な悩み、社会問題として3つのポイントを取りあげる。ここも大切で、「事例は多すぎても少なすぎても頭に入りづらく、3つがちょうどいいのです」と藤田さん。

次に(2)の「アプローチ」。(1)の課題に対して、嗅覚を刺激することで人間の本能を解放してリラックスさせられることを解説する。嗅覚の説明は難解なので、イラストを用いてイメージしやすくしている。

そして、(3)の「サプライズ」。香りというと、女性の専売特許という印象が強いが、アロマスティックの購入者は男性が女性を上回っている。その驚きの事実を円グラフで一目瞭然に表した。(4)「次の一手」では、男性がキャリングケースをどんなシーンで使うのかをイメージできるように写真を使った。「大切なのは、具体的にイメージできることです」と藤田さんはいう。

シンプルだがワクワク感溢れるパワーポイントの資料。学ぶべき点が多々ある。