これを実現するための大前提は、経営者を含め全スタッフの情報を徹底的にオープンにすることだ。スケジュールだけではない。社員には、業務関連のメールはほぼすべて、私やサポートスタッフのメーリングリストにCCする運用を徹底している。なにもいちいち細かくチェックをしてケチをつけようというわけではない。各スタッフやプロジェクトの動きを眺めておきたいだけだ。スケジュールと併せて見れば、「Aさんはこの時期はたいへんそうだな」「Bさんは○○の案件で行き詰まっているな」とわかるので、未然に進行の停滞やトラブルを防ぐことができ、次善の策を打つことができる。
一方、当社では経営者である私のスケジュールのみならず、業績管理や売り上げ、受注状況など経営にかかわる情報も全スタッフに公開している。そうすることによって、スタッフ各自が目の前の仕事の意味を感じて動いてくれると期待しているからだ。
仕事のパーツしか見えないと、スタッフの中には「不透明感」「窮屈感」「やらされ感」がどうしても生じてしまう。でも、プロジェクトや会社の状況がすべてわかったうえで、「この仕事をこういう理由でやってほしい」と伝えれば、期待値以上の成果を見せてくれることさえあるのだ。
元米軍統合参謀本部議長、元米国務長官
1937年、ニューヨーク市生まれ。ニューヨーク市立大学卒、ジョージ・ワシントン大学大学院修了。89年、米軍制服組トップの統合参謀本部議長に就任、湾岸戦争などの指揮を執った。2001~05年、ブッシュ(子)政権の国務長官を務めた。本記事で紹介した談話は、トニー・コルツとの共著『リーダーを目指す人の心得』からの抜粋である。
平野友朗(ひらの・ともあき)
一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事
アイ・コミュニケーション代表。メールに関する書籍を26冊執筆、講演・研修回数は年間120回超。『仕事を高速化する「時間割」の作り方』の読者向けに詳しい説明映像を公開中。
井上和幸(いのうえ・かずゆき)
経営者JP社長
リクルートで人事・広報などを経験。2010年から現職。企業の経営人材採用支援、経営人材育成プログラムなどを提供。