5 井上和幸
自分へのアポをどう取るか

かつての日本であれば、「おおよそこれくらいの仕事を、だいたいいつごろまでに」といったやや曖昧な業務項目や達成項目の中で現場が動いていた側面がある。私はそのやり方に肯定的なのだが、最近は仕事の設計や組み立てを精緻に行い、可視化するといった仕事のやり方が身についていないと、ビジネスの世界では通用しないシーンも多くなってきた。

井上和幸氏(撮影=宇佐美雅浩)

当社では、これに対応するためグーグルカレンダーを活用し、全社をあげてスケジュールを公開し共有している。そして私のスケジュールに関しては、ほかのスタッフが勝手に「○○社同行」「○○プロジェクト打ち合わせ」などと、特段の許可なくカレンダーに入力していいことにしている。

そうなると、自分自身の作業時間や企画を練る時間をしっかり確保しておくことが重要となる。ただでさえ、経営者や管理者は、部下から業務の確認を求められたり、決済業務があったりして、1つの作業に集中したいと思っても、余儀なく中断せざるをえないことが多い。そこで私は自分にアポイントメントを入れて時間を確保し、ほかの社員からのコンタクトをブロックする時間をつくっている(カレンダー上では「BLOCKED」と表記)。具体的には、「集中作業」という予定を入れておく。すると社員たちは、その時間は私に「予定を入れてはいけない」と理解する。

「集中作業」として確保する時間は成り行きではあるが1~3時間。これには2種類あって、1つは、ルーティン化している事務処理に使う時間。もう1つは、具体的に何を行うかは決めずに確保する時間。実際には企画系の業務をこなすのが通例だ。